なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

カテーテル関連血流感染症

2023年08月18日 | 感染症

 現在、当院で提出される血液培養は月10件ちょっととかなり少ない。尿路感染症(急性腎盂腎炎)・胆道感染症・原因不明の発熱での提出もあるが、病棟からだとカテーテル関連血流感染症疑いでの提出になる。

 カテーテル関連血流感染症では基本的にはカテーテル抜去を要する。バイタルが安定していれば血液培養の結果で診断確定してから抜去することもあるが、バイタル不安定では直ちに抜去する。

 コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CNS)以外の菌では原則、カテーテル抜去になる。CNSでは抗菌薬ロック療法でカテーテル温存を試みてもよいらしいが、行ったことはない。

 

 4月13日地域の基幹病院整形外科で大腿骨頸部骨折術後(人工骨頭)に80歳男性が、回復期リハビリ病棟に転院してきた。4月から赴任した整形外科医が担当になっていた。

 ところが4月25日から癒着性腸閉塞(虫垂炎術後)からの嘔吐で誤嚥性肺炎を来した。こうなると整形外科では診られない。一般病棟に転棟して、担当も内科(腎臓内科の若い先生)が担当になった。

 腸閉塞はNGチューブ挿入で保存的に軽快して、誤嚥性肺炎も抗菌薬投与で軽快した。結局経口摂取困難となって、末梢点滴からCVカテーテル挿入(右大腿静脈から)で高カロリー輸液になった。

 しばらく安定していたが、発熱が続き、7月⑪日提出の血液培養2セットからコアグラーゼ陰性ブドウ球菌(Staphylococcus caprae)が検出された。バンコマイシン投与で軽快していたが、CVカテーテルはそのままだったので治りきることはなかった。

 8月1日提出の血液培養2セットからまた同じ菌が検出された。CVカテーテルを抜去して、今度は右上腕の静脈からPICCが挿入された。

 腎臓内科の先生はPICCが得意だった。当院では以前に在籍した外科医がもっぱらPICCを行っていたが、どうも固定しにくいセットだったらしい。使いやすいキットを購入したいと周囲の先生方に訊いていたが、他に行う人はいないので、希望のキットを購入して下さいとお伝えした。

 

 PICCはやってみたいと思いながらまだ行ったことはない。認知症の高齢者だと首と上肢を動かしてしまうので、それを抑えて内頸静脈から挿入するのは難しい。上腕だったらなんとか(動くのを)抑えられるかもしれない。

 地域の基幹病院では血液培養の提出が月に100~200件らしい(県庁所在地の専門病院は300件と聞いた)。血液培養の提出件数が病院の診療レベルを表すとされるので、件数を増やす必要がある。

 

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