なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

血小板減少、紫斑

2023年08月07日 | Weblog

 先週の木曜日(8月3日)の夕方に皮膚科の先生から連絡がきた。両下腿の紫斑(点状出血)で受診した81歳女性は、血小板数が2000だった。

 その日両下腿の皮疹に気が付いて皮膚科外来を受診していた。皮疹といっても紫斑(点状出血)で、両膝の上の数cmまで無数に出現している。上肢や体幹部にはなかった。皮膚科医はIgA血管炎を想定したそうだが、検査室から血小板低下の連絡が来た。

 関節リウマチでリウマチ膠原病外来(大学病院から隔週)に通院して、メトトレキサートが処方されていた。それによる骨髄抑制が疑われた。

 

 昨年5月からの多発性関節炎で、市内の整形外科クリニックから紹介された。リウマトイド因子・抗CCP抗体は陰性だった。手のX線で骨びらんがある。関節リウマチとしてサラゾスルファピリジン(アザルフィジン)で治療が開始された。

 その後タクロリムス1mg/日から3mg/日が追加になり、さらにメトトレキサート4mg/週から6mg/週が追加になっていた。最近は同じ処方が続いている。

 7月末の受診時に、それまで14~15万だった血小板数が8万に低下していた。白血球数も4000前後から2900に、Hb11g/dlが10.5g/dlに軽度低下している。メトトレキサートの量は同じだが、そこから血球減少が始まっていた。(主に血小板減少だが、汎血球減少になっている)

 入院中の患者さんが視力低下で眼科外来を受診して、緑内障発作と診断された時だった(マンニトールの点滴静注を開始した)。リウマチ膠原病外来を担当されている先生に訊いてもらうことにした。

 骨髄抑制の可能性もあるが、自己免疫性血小板減少性紫斑病など他疾患の可能性もあるという話だった。葉酸製剤内服とプレドニン内服の指示が出て、入院で経過をみることになった。

 

 翌日の金曜日も血小板数は2000と変わりなかった。両下肢の紫斑は点状出血ではなく、それぞれの出血点が大きくなり、斑状出血になった。両上肢にも出血がみられた。血圧測定をした上腕に皮下出血が起きて、採血部位(肘正中)からoozingが続いていた。

 その時点で脳内出血や内臓の出血を示唆する症状はないが、いつどこに出血してもおかしくない病状だった。再度リウマチ膠原病外来を担当されている先生に連絡して、大学病院での治療をお願いした。

 

 メトトレキサート診療ガイドラインには、骨髄障害発症時は、「ただちにメトトレキサートを中止し、専門医療機関に紹介する」。「重症な場合(Hb<8g/dl、白血球1500、血小板<5万)では活性型葉酸であるロイコボリンレスキューと十分な輸液・支持療法を行う」とある。(ロイコボリンは院内になく、フォリアミンのみ)

 支持療法として、Hbと白血球減少は通常の赤血球輸血やG-CSF製剤でなんとか対応できそうだが、ここまで血小板が低下すると血小板輸血が必要になり、当院で継続するのは厳しい。

(検査技師は人員減少で時間外の対応ができない=時間外は輸血不可)

 

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