なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

気道狭窄

2023年08月02日 | Weblog

 月曜日の内科新患(大学病院医師が担当)を89歳男性が受診した。ふだんは喘息(自称)で市内のクリニックに通院している。2~3日前から喘鳴が悪化して夜眠れないという訴えだった。

 喫煙歴(40本/日を60年)があり、喘息というよりCOPDで喘鳴を伴うということのようだ。テリルジ200エリプタの吸入とテオフィリン内服が処方されている。(胸部CTで気腫性変化がある)

 先週から発熱・血痰があって、クリニックを受診して抗菌薬(アベロックス内服)の処方を受けていた。

 当院受診時も38.7℃の発熱があった。発熱外来扱いとなり、コロナとインフルエンザの迅速検査陰性を確認後に外来受診となっている。

 聴診上は気道の狭窄による喘鳴でstridorだった。白血球29500・CRP3.4と炎症反応が上昇していた。頸胸部CT(単純)を撮影すると、右側の喉頭(声門部)から気管上部にかけて周囲からの圧迫がある。

 担当医は耳鼻咽喉科外来に紹介した。喉頭ファイバー検査では圧排所見だけで、粘膜面には病変を認めなかった。反回神経麻痺があった。

 咽喉頭癌・食道癌・甲状腺癌などが疑われる気道狭窄として、大学病院耳鼻咽喉科に連絡して翌日外来受診となった。早急に気管切開を要するかもしれないと患者さんに伝えている。(嚥下障害という話はなく、食道癌は否定的か)

 

 発熱・炎症反応の上昇からは感染症の可能性もあるが、こんな形でくるかというと、やはり腫瘍の方を考えたい。耳鼻咽喉科医は粘膜面に病変がないので生検はしていなかった。これは高次医療機関紹介で正解だと思う。

 

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