なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

MRSA、MSSA

2023年08月26日 | 感染症

 5月16日に交通外傷(胸椎骨折、右脛骨骨折)で整形外科に入院した86歳女性は、保存的治療を経過をみることなった。

 糖尿病があり、内科で診てほしいといわれて、入院当初からかかわっていた。入院後に食事摂取が進まず、胸部X線・CTで誤嚥性肺炎があるとわかり、内科で抗菌薬点滴静注を行った。

 1か月経過して骨折は安定したとして、6月17日に内科に転科となった。両上肢と首は自由に動かすため、右大腿静脈からCVカテーテルを挿入して、高カロリー輸液を開始した(インスリン混合あり)。そのまま安定すれば、療養型病床のある病院へ転院依頼することになっていた。

 7月14日から高熱・悪寒が出て、カテーテル関連血流感染症が疑われた。バンコマイシンと、尿路感染症疑いもあり、ファーストシン(CZOP)を開始して翌日にはきれいに解熱した。

 どちらかというと尿路感染症かもしれないと思われたが、血液培養2セットからMRSAが検出された。CVカテーテルを抜去したが、バンコマイシン投与後なので、カテーテル先端の培養は陰性だった。

 バンコマイシンは14日間投与したが、途中から軽度の肝機能障害を認めていた。(中止で軽減)左大腿静脈からCVカテーテルを入れ替えた。

 8月11日から高熱が出現して、再度同じ抗菌薬をカテーテルを開始した。連休の初日だったので、培養は提出できなかった。解熱傾向にはあったが、連休明けに確認すると、刺入部から血性浸出物が出ていた。これは明らかに感染を来しており、血液培養を提出して、すぐにカテーテルを抜去した。

 カテーテルから引いた血液は少量しかとれなかったので、一応それも培養に出したが、末梢静脈からも血液培養を2セット提出した(計3セット)。カテーテル先端も培養に提出した。

 カテーテル抜去後は解熱した。前回もバンコマイシン投与で肝機能障害があったが、今回は軽度ではなく高度になっていた。ファーストシンは継続した。まだ培養結果は出ていない。それで発熱が起きた時はMRSA用にテイコプラニンを開始するつもりでいた。幸い解熱したままだった。

 カテーテル先端の培養とカテーテルから引いた静脈血から、今度はMSSAが検出された。感受性は良好だった。ファーストシンも効いていたので、作用の異なる2種類の抗菌薬が入ったことになる。

 CVカテーテルはまた右大腿静脈から入れ替えている。穿刺部位として好ましくないので、次回は上肢と首を抑えてもらって、内頚静脈から入れるしかないかもしれない。

 

 

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