なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

寝たきり胃瘻、でもまだ若い

2012年11月12日 | Weblog

 53歳女性が発熱で内科新患を受診した。もともと精神遅滞があって、施設に入所していた。施設生活は何十年かになっている。抗てんかん薬が数種類が処方されている。会話はできず、うなり声を発するだけだが、いやだとうなり、うれしいと一瞬笑顔になる。生活全般に全介助で、車いす生活(リクライニング付き)だった。次第に嚥下障害から誤嚥性肺炎を繰り返し、今年の初めに胃瘻造設による経管栄養が開始された。しかし、それでも誤嚥性肺炎になって6月に入院していた。胸部X線・CTを行うと、今回も誤嚥性肺炎が起きていた。

 末梢の血管がほとんど見えず、かろうじて肘の静脈から採血はできるが、継続した点滴はとてもできない。末梢用の点滴を入れるのに、中心静脈ルートをとるしかない。胸郭が変形しているので鎖骨下からはアプローチできない。やむなく、鼠けい部からルートを確保した。さっそく抗菌薬投与を開始したが、前回入院時は最初に使用した抗菌薬が効かず、途中で変更していたので、抗菌薬の選択がむずかしい。

 何度か肺炎を繰り返して、なんとか軽快しても、また肺炎になってしまう。近い将来(今回かもしれないが)肺炎が治らない時が来るはずだが、人工呼吸器装着の適応をどうするかという問題がある。年齢を考慮すれば、当然そこまでやらなければならないが、頸部もかなり固くなっていて、気管挿管する時にうまく喉頭展開できないかもしれない。

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