なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

心肺停止

2024年04月22日 | 循環器疾患

 4月18日(木)は当直だった。隣町の救急隊から、心肺停止の70歳代前半の男性の搬入依頼がきた。

 その町の町立病院に糖尿病で通院しているそうだ。そこは常勤医3名の病院で、時間外の救急はほとんどとっていない。その日も真っ先に連絡したが、対応できないといわれていた。

 地域の基幹病院に連絡したが、満床で断られていた。(心肺停止は)どこで診てもいっしだから、ともいわれたそうだ。あとは遠方の病院になっていしまうので当院で受けることにした。

 後で家族から聞いたところでは、その日は大動脈解離術後の妻の大学病院受診日で、患者さんと娘が付き添って受診してきた。自宅に戻ったのは午後7時ごろで、3人とも疲れていた。

 患者さんは車の中で嘔気を訴えていたが、自宅に戻ってから嘔吐してそのまま意識を失って倒れた。胸痛や頭痛は訴えなかったという。冷汗の有無はわからないようだ。呼びかけても反応がなく、呼吸が止まっていたので娘さんが救急要請した。

 救急隊到着時、心肺停止(心静止)だった。心肺蘇生術が開始されたが、まったく反応がなかった。救急車内に搬入して、自動式心臓マッサージ器の装着とラリンゲ(ア)ルチューブによる人工呼吸を開始した。

 当院到着時、心肺停止(心静止)・瞳孔散大・対光反射なしだった。血糖は230mg/dLで問題なかった。

 点滴を入れて、アドレナリンを使用したが、まったく反応はなかった。30分経過したところで、家族に説明して心肺蘇生術を中止して死亡を確認した。

 Autopsy imagingとして頭部CT・胸腹部CTを行った。頭部CTは異常がなかった。胸腹部CTでは大動脈と冠動脈の石灰化が目立った。肺うっ血は急性循環不全を示唆しているかもしれないが、長時間の自動式心臓マッサージの影響がある。嘔吐後だが、気道に食物などはなかった。

 心疾患による急死と判断された。致死的不整脈の可能性も否定はできないが、冠動脈の石灰化からは急性心筋梗塞(左の主幹部?)の可能性が高いか。

 

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