なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

重症急性膵炎

2018年12月09日 | Weblog

 先々週の月曜日の夜間に入院した急性膵炎の45歳男性。腹痛に対して、アセリオ1000mg点滴静注を2回、ソセゴン15mg静注を2回行った。その後は腹痛は自制可となったが、腹部膨満が続いてしゃっくりもしていた。

 腹部のコンパートメント症候群を疑ったが、圧痛があるが腹膜刺激症状はなかった(後腹膜の問題だから?)。頻脈気味ではあるが、血圧は安定して、酸素吸入もしなかったので、当院入院で経過をみた。

 腹部造影CTを再検すると、膵周囲の浸出液は広がって、腎下極以遠の後腹膜にまで及んでいた。膵造影不良域はないが、CT分類ではGrade 2相当で重症になる。

 血清アミラーゼは入院後すみやかに低下して正常域になった。血清アミラーゼは重症度分類に入っていないが確かに使えないのだった。重症度判定基準では血清Ca低下とCRP高値が当てはまり、SIRS診断基準はぎりぎり当てはまるかどうか。3項目以上は重症になる。

 このCT像を呈した時、腹部膨満は軽減してきていた。酸素吸入をしていないのと、血圧が安定していたので、そのまま診てきたが、高次医療センターに搬送すべきだったのかもしれない。

 CRPは50まで上昇して、その後は30、20と軽減してきた。乏尿になったわけではないが、途中から尿が気持ちよくできるようになりました、寝返りが楽にできるようになりました、と臨床経過が軽快していること話してくれたことも、そのまま経過をみた大きな要因になった。

 

  

 金曜日に内科専攻医の基幹病院である医療センターの統括責任者の先生(消化器内科)が、研修指導の打ち合わせと専攻医の症例進捗状況確認で来られた。ちょっとこの症例に話をしたところ、重症急性膵炎は全身管理が必要となり集めているので、送ってくださいと言われた。

 すでに食事(膵臓食全粥)も出しているが、2週目以降に仮性嚢胞などの合併症が起きてくることもあり、転院をお願いする可能性はまだまだある。当院で診られるぎりぎりの症例だ。

 機会飲酒だが、発症前日にアルコール多飲があったのと、高中性脂肪血症を放置していて入院時は中性脂肪2800と上昇していたのが原因と思われる。胆嚢内に小結石が2個あり、総胆管に一時的に嵌頓して排石した可能性もあるが(MRCPで総胆管に結石はない)。

 

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 感染性大動脈瘤 | トップ | 原因不明の腹痛・血便 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事