先月末に肺炎で入院した91歳女性は入院時から画像に奇異な印象を受けていた。夜間の受診で当直の外科医が「何かパラパラした陰影がありました」と言っていた。酸素飽和度の低下も目立たず、セフトリアキソンを1回点滴静注して、入院にしていた。
そのままセフトリアキソンを継続していたが、発熱が続いていた。3日後の土曜日に酸素飽和度が低下して、胸部X線・CTで肺陰影が一気に広がっていた。分布と経過の速さにやはり奇異な印象を受けた。
家族に呼吸器内科のある病院への転送を勧めたが、当院に愛着がある?のと、山間部の自宅から自分の車でお見舞いに来るのは当院までが限界という理由で、当院での治療継続を希望された。通常この年齢だと、認知症があったり元々のADLが悪かったりして、当院でできる範囲で治療して、それで増悪する時はDNRの方針とすることが多い。ただこの患者さんは認知症はなく、ADL自立なので、最良の治療をうけさせたかった。
やむなく、抗菌薬を変更して、間質性肺炎疑いでステロイドパスル併用とした。すぐに解熱して、酸素飽和度の改善してきた。抗菌薬はカルバペネムだったが、薬疹が出て途中でニューキノロンに変更した。改善は抗菌薬変更前で、効いたのはステロイドだったと判断された。
ステロイドパルスからプレドニン0.5mg/Kgにして点滴静注から内服に切り替えた。みるみる元気になって酸素吸入も中止になった。現在、リハビリ室まで車いすで行って歩行訓練中だ。
大学病院から呼吸器外来に来てもらっている先生に相談したが、器質化肺炎でしょうという。特徴のないのが特徴だからと言われてしまうが、やはり特徴的陰影はあるようだ。「手引き」の記載によると、1~10mmの結節影というのが多発しているところや、CTの三次元画像で見ると、隣接する正常境域との境界が陰影側に凹というのも特徴的だ。
初期量を1か月継続して漸減を開始するが、外来は呼吸器外来で診てくれるそうだ。
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