なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

原因不明の腹痛・血便

2018年12月10日 | Weblog

 先週土曜日の日直の時に、35歳男性が右上腹部痛で受診した。動くのもつらいくらいの疼痛だったが、腹部は案外平坦・軟で圧痛は軽度だった。ご本人はまた胆石の痛みが来たと言っていた。

 20歳頃から断続的に血便(赤黒色)があるという。内科医院から地域の基幹病院消化器内科に紹介されたこともあるが、仕事の都合で予定された大腸内視鏡検査は受けていない。

 今年の6月に右上腹部痛で救急外来を受診していた。腹部エコーは全体にpoor studyだが、胆嚢内に小結石があるようにも見えた。翌日に消化器科外来を受診した時には腹痛は治まってきていた。仕事の都合で入院できないと外来治療になった。その時も、その後は受診せず、勧められた大腸内視鏡検査は受けていない。

 土曜日の腹部造影CTでは、収縮した胆嚢が描出されて、胆嚢結石とも胆嚢炎ともいえなかった。胆道系の拡張もない(脂肪肝は目立つ)。上行結腸に多発性憩室を認めるが憩室炎とはいえず、虫垂も正常だった。腹部エコーはやはりpoor studyで胆嚢も良く見えない。 

 入院後は右上腹部痛は軽快して、違和感程度になった。腹部エコー再検で胆嚢は十分に描出されて、胆嚢結石はなかった。病室から職場に携帯電話で連絡して、仕事の指示を出していた(希望で個室にいた)。建設業で自分がいないと仕事が止まってしまうといのは本当らしい。すぐに退院したいが、今日中に内視鏡検査が全部できませんかという。

 内視鏡担当の先生に相談して、まず上部消化管内視鏡検査をして、それから腸管洗浄液を飲んで、午後に大腸内視鏡検査をしてもらえることになった。上部は異常なし。大腸は下行結腸に軽度発赤があるだけだった。

 疑っていた潰瘍性大腸炎は否定された。小腸クローン病は否定できないが、そうだとしてここまで10年以上の経過で、これといった合併症も起きていない点では否定的なのか。小腸のvascular ectasia?。血便の症状が続くときは、小腸検査(カプセル内視鏡かバルーン内視鏡)を受けもらうしかないが、これは専門病院に行かないとできない。

 結局血便の原因も、右上腹部痛も原因が不明のまま退院となった。腹痛はまだ2回なので、血便と同時に起きるのか、別個に起きるのか関係ははっきりしない。

 入院時から絶食だったので、病院では一食も食べないで退院することになる。普通は食事を出して、悪化しないことをみてから退院になるものだが。退院する時は元気に歩いて行った(母親が慌ててあとから追いかけて行った)。

 

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