なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

Broca失語

2024年07月02日 | 脳神経疾患

 6月28日(金)に施設の嘱託医から87歳女性の頭部MRIが依頼が来ていた。MRIを撮像すると脳梗塞を認めたため、放射線科で何かあった時(造影剤の副作用など)の連絡係になっている若い先生に連絡がいった。(その先生から当方にも、MRIを診て下さいと連絡が入った)

 患者さんは4日前から発語がなくなったという。歩行可能で食事も自力で摂取できる。指示通りに上肢を動かしたり、質問にうなずいたり首をふったりした。言われたことはわかっているが、言葉が出ない。Broca失語(運動性失語)の症状だった。

 すでに4日経過しているので、頭部CTでも同じ部位に梗塞巣が描出されていた。今更の感はあるが、入院して経過をみることになった。聴覚言語療法士がいるので、リハビリはできる。

 

 開業医の先生方から、放射線科にCT・MRIの依頼があると、撮影(MRIは撮像)して放射線科医の読影レポートをつけて画像を(CDに入れて)送っていた。

 放射線科の常勤医がいた時は平日毎日、常勤医が定年退職して非常勤医が週3回来るようになった時はそれに合わせて受けていた。現在は遠隔診断だけになったので、画像はすぐ持って行ってもらうが、読影レポートは数日後の発送になる。

 市内の整形外科医からの、脊柱管狭窄症疑いの腰椎MRIや靭帯損傷疑いの膝関節MRIなどは緊急性はない。内科医からのアルツハイマー型認知症疑いの頭部MRIも緊急性はない。

 しかし脳神経症状が発症した患者さんの頭部CT・MRIは、所見があった時に画像だけ持たせて帰していいのか、という問題になる。

 入院の紹介先を選ぶのは開業医の先生の判断によるので、「所見がありましたが、当院で対応しますか他院に紹介されますか」と訊く必要がある。

 現在当院には脳神経の専門医はいない。非常勤だが脳神経内科の外来が週に2回あるので、うまくタイミングがあえば専門医に診てもらえる。診てもらっても、入院は専門医のいる病院へ紹介となること多いが。

 

 放射線科の技師さんによると、退職した脳神経内科医は開業医の先生とバトルを起こすことがあった。開業医の先生の中には、「当院で画像だけ撮って、所見があれば他院に紹介する」、という先生もおられたそうだ。

 

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