なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

胆管癌の疑い

2024年07月05日 | 消化器疾患

 7月1日(月)に81歳男性が受診した。受診した時は時に症状はなかった。

 2週間前、1週間前、2日間の夜間に38℃の発熱があった。悪寒もあったが、悪寒戦慄ではない。発熱は1日だけで翌日には解熱している。

 呼吸器症状や腹部症状はなかった。ただこの2週間くらいで体重が5kg減少しているという。食事摂取量が以前より低下している。診察しても特に異常は認めない。

 

 この患者さんは、昨年の11月に総胆管結石・急性胆管炎・急性胆嚢炎になった既往がある。外来で担当した先生が入院としたが、当院では対応できないので、翌日には消化器病センターのある専門病院に転院となった。(地域の基幹病院はその時は受け入れ不可だった)

 転院翌日に内視鏡的に膵胆管造影(ERCP)を行って、乳頭切開・総胆管結石除去術が行われた。5日間の入院で退院している。その後、2024年2月に同院の外科で腹腔鏡的胆嚢摘出術が行われた。

 

 この既往があるので、総胆管結石の再発が疑われた。ただし乳頭切開してあるので、小結石なら自然排石が期待され、そうそう再発はしない気もした。

 血液検査では白血球8100・CRP5.3と軽度の炎症反応上昇があり、肝機能障害(AST 63・ALT 97・ALP 548・γ-GTP  806・総ビリルビン1.4)もあった。胆道系酵素の上昇の方が目立つ形だった。

 腹部CT(単純)を行うと、肝内胆管が拡張して、総胆管が総肝管のあたりで狭窄あるいは閉塞している。先細りの変化で結石ではなく腫瘍(胆管癌)が疑われる。

 MPCPができるか担当の放射線技師さんに連絡すると、次に入れてくれるという。(その日は空いているのは午後4時以降だったが、配慮してくれた)MRCPでは、肝内胆管全体が拡張して、総肝管から上部総胆管にかけての狭窄(ほぼ閉塞)が描出された。

 前回治療してもらった専門病院に紹介して翌日に受診してもらうことにした。胆管癌だと、年齢を考慮してステント留置だけになるかもしれない。

 

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