なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

感染性大動脈瘤

2018年12月08日 | Weblog

 金曜日に内科の若い先生に相談された69歳男性は、思いがけない展開になった。

 血液透析を受けている患者さんで、1週間続く鼻汁と発熱(38~39℃の高熱)で2日前に水曜日に内科新患を受診した。咽頭発赤は軽度だが、後鼻漏を認めて、頬部に叩打痛があった。検査で白血球数10700・CRP11.9と炎症反応の上昇があった(前日の透析の時にも白血球数8500とふだんの3000台より倍増して、CRP7.5と上昇していた)。細菌性副鼻腔炎として抗菌薬(ABPC/CVA)を処方して、2日後に再受診としていた。

 金曜日の再受診時にも高熱が続いていた。検査で白血球数15200・CRP19.4と悪化していた。患者さんの全身状態は悪くないが、副鼻腔炎でいいのかということになった。

 CTの検査で有意な副鼻腔炎らしい所見はなかった。肺炎のチェックもあるので胸部も含んでいたが、大動脈弓の外側に病変があった。airもあるようだが、単純CTなのでそれ以上のことはわからない。

 発熱・炎症反応上昇からは感染症と考えられた。縦隔の炎症性病変となると、縦隔炎・縦隔膿瘍になる。鼻炎症状があることから、耳鼻咽喉科で診るような上気道疾患から波及した可能性がある。しかし耳鼻咽喉科で診察してもらったが、これといった病変なかった。気管・気管支病変からの波及、食道からの波及なのか。

 透析を担当している外科の先生に相談して、ガストロガラフィンによる食道造影が行われたが、食道病変はなかった。気管・気管支の病変は否定できないが、院内で気管支鏡検査はできない。

 外科医がMRIをオーダーした。放射線科のMRIに詳しい技師さんが担当してくれて、大動脈につながる動脈瘤が描出された。単なる瘤ではなく感染性大動脈瘤になる。心臓血管センターのある専門病院に紹介搬送となった。(この患者さんは以前CABGを受けている)

 金曜日のちょうど時間外に入った時で、外科医のみごとな診断だった。造影CTができれば一発だったはずだが、大分回り道をしてなんとかたどり着いた。

 それにしても、引き受けてくれた心臓血管外科はどう対応するのだろうか。まずは血液培養を採取して抗菌薬投与からだと思うが(当院でも最初に相談を受けた時に血液培養は2セット提出していた)。

 水曜日に、昨日から前胸部の上部が何となくおかしいという症状があった。確認すると、違和感程度で痛みというほどではないが続いていたそうだ。後から思うと、重要な症状だった。

 

 

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