なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

脳出血の経過

2021年03月19日 | Weblog

 脳出血(左視床出血)の68歳男性の経過。

 糖尿病で内科医院(糖尿病専門医)に通院して、インスリン強化療法を受けていた。2月6日に脳出血を発症して、地域の基幹病院に入院した。出血が脳室穿破している。

 脳出血だが、保存的治療になることから、脳外科ではなく脳神経内科に入院していた。意識が回復せず、到底経口摂取もできないことから、末梢静脈からの点滴で経過をみる(お看取り)ことになった。

 当院に転院依頼がきて、2月26日に転院した。その時は開眼はしているが、視線は合わず、発語はまったくなかった。家族と相談したが、意識が戻らないのであれば、高カロリ-輸液・経管栄養は希望しないという。

 とりあえずは、同じ方針で点滴継続としていた。血糖コントロールが結構大変だった。後で血中Cペプチド(<0.6)を測定すると、インスリン依存状態だった。

 ただ当院で頭部CTを撮り直してみると、まだ血種が残存して脳浮腫もあった。さらに先方の病院で血清ナトリウム177と高ナトリウム血症を来して補正はしていたが、転院時も166と高値だった。

 血種が吸収されて、血清ナトリウムを正常化すれば、意識が改善する可能性がある、と判断された。実際に少しずつ意識は回復して、視線が合うようになり、発語がみられるようになった。

 さらに簡単な会話ができるようになった。嚥下訓練を行って、嚥下調整食3から開始できた。微熱(軽度誤嚥?)が気にはなったが、経口摂取できて嚥下調整食4に変更した。

 今日頭部CTをまた撮って、血種は吸収されて、脳浮腫も軽快していた。ただ、内包から被殻にかけて病変が及んでいるので、右半身完全麻痺が改善することはない。(血清ナトリウムは正常化した)

 

 現在はインスリン強化療法で、血糖コントロールを主に行っている。座位保持できれば車いす移乗も試したい。入院期間をあまり気にしなくていい病院ならではの経過かもしれない。

 

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