先週の金曜日に、がんセンター血液内科から多発性骨髄腫の83歳男性が転院してきた。
4年前に市内の内科クリニックから、貧血(8.1g/dL、MCV102)と腎障害(血清クレアチニン1.86mg/dL)で当院の腎臓内科外来に紹介された。当時腎臓内科外来は大学病院からの応援医師が来ていた。
院内の検査でIgGが8308mg/dL(870~1800)と高値を認めて、多発性骨髄腫疑いとして、すぐにがんセンター血液内科に紹介していた。(血清免疫電気泳動は外注検査で提出していて、結果はIgG ΚのM蛋白)
がんセンターで骨髄検査を行い、形質細胞36.6%で多発性骨髄腫と診断された。もともと脳出血後遺症・脳梗塞後遺症で車椅子生活だが、化学療法(MP療法)が行われた。
6月下旬に発熱があり、がんセンターを受診してCOVID-19と診断された。外来で抗ウイルス薬(ラゲブリオ)が処方されて軽快していた。
7月半ばに右半身麻痺の進行があり、がんセンターに救急搬入された。当初は頭部MRIで新規病変を認めなかったが、その後軽度の脳梗塞再発と診断された。
ADLが車椅子移乗も難しくなったので、自宅退院できず当院に転院となった。骨髄腫の治療は中止する、となっていた。妻と二人暮らしで、在宅介護は困難のため、可能ならば病院から直接施設入所の方針となった。
当時腎臓内科外来と透析で来てもらっていた先生の名前を久しぶりに見た。あまり躊躇なく物事を決めていく、割り切りのいい先生だった。