なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

グラム陽性球菌

2024年08月12日 | 感染症

 先々週、糖尿病・高血圧症で通院している80歳代後半の男性が、高熱で受診した。悪寒戦慄もあったが、それ以外の症状は訴えなかった。

 菌血症の症状なので、コロナとインフルエンザの迅速検査を行って(陰性)、すぐに感染源の検索を行った。肺炎・尿路感染症・胆道感染症は否定的だった。

 血清PSA値が40ちょっとあり、前立腺炎が疑われた。血液培養・尿培養を提出して、セフトリアキソンを開始した。高熱と悪寒戦慄は治まったが、微熱が続いて炎症反応は不変だった。

 血液培養からグラム陽性球菌が検出されたと検査室から報告が来た。尿路系のグラム陰性桿菌を想定していたので意外だった。尿路系なら腸球菌しかない。

 いったんバンコマイシンに切り替えて経過をみて、解熱して炎症反応は軽減した。感染性心内膜炎や化膿性脊椎炎も確定できなかった。

 菌名が出て、Staphylococus captisStreptococcus anginosusだった。前者はコアグラーゼ陰性ぶどう球菌としては少ないメチシリン感受性だった。どちらもABPCに感受性がある。嫌気性培養は陰性だった。

 膿瘍らしさはないので(anginosusは膿瘍を伴う)、ビクシリン(ABPC)で経過をみることにした。入院してしばらくは血圧が90~100だったが、ショックバイタルなのだった。(回復したが、まだ降圧薬は休止している。

 セフトリアキソンがあまり効いていないように見えたのは投与日数の問題だったようだ。

 

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