なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

大腸菌ESBL

2024年08月16日 | 感染症

 8月5日(月)に前週の木曜日から発熱が続く93歳女性が受診した。それまでも膀胱炎を時々起こしている。尿路感染症(急性腎盂腎炎)が疑われた。

 尿は混濁している。無症候性膿尿・細菌尿の可能性もあるが、肺炎や胆道感染症など他の感染症らしさはなかった。食欲低下もあり腎前性腎不全になっている。

 ふだん高血圧症で治療しているが、血圧90~100と低下していた。ふだんは良くしゃべる方だが、ショックバイアルで元気がなかった。

 CRPが40と著明に上昇していた。血液培養2セットと尿培養を提出して、抗菌薬(セフトリアキソン)を開始した。入院後は解熱はして炎症反応も軽減はしたが、血圧が100前後で尿所見はあまり変わらなかった。

 一見抗菌薬が効いているような経過だが、いまひとつの印象がある。尿培養の結果をみていたが、外注検査なのでなかなか結果が出ない。

 週末3連休になるので、8月9日(金)も午前と午後に見たが、結果は出ていない。気になって午後5時過ぎに見ると、尿培養から大腸菌ESBLが検出されていた。(血液培養は陰影)

 慌てて病室に行って、抗菌薬をメロペネムに変更した。3連休明けの8月13日は食欲も出て来て、CRPが2と一気に軽快していた。

 耐性菌が出ると検査室で報告を入れて来るが、この方は忘れていたようだ。

 セフトリアキソンはESBLには無効だが、「実際は高濃度の抗菌薬が尿中に排泄されるため、尿路感染では効いてしまうことも多い」(プラチナマニュアル)。といってそのまま継続することはないので、判明すればカルバペネムにする。

 

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