なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

十二指腸潰瘍穿孔

2019年03月15日 | Weblog

 内科の若い先生(内科専攻医)が水曜日の当直だったが、木曜日の朝方に85歳男性が腹痛で救急外来を受診した。10日前から下痢が続いていたという。それだと腸炎になるが、下痢をしている間はそれほどの腹痛は感じなかった。腹痛は前日から起きていた。

 10日間に下痢という病歴で迷ったそうだが、腹部X線は臥位と左下デクビタス(立位になれなかった)をしっかり撮影していた。病院に来てから、前日の当直帯で受診した患者さんを電子カルテでチェックして、この患者さんが気になった。当直だった若い先生は内科再来を診ていたので、病室に行って患者さんを診察した。

 患者さんは認知力低下があり、付き添っていた奥さんもピントの外れた答えをしていて、娘さんが訂正して何とか上記の病歴を確認できた。腹部は上腹部・左下腹部は圧痛がないと答えた。右上腹部から下腹部にかけて、慎重に何度も触診して深めの触診で筋性防御がありそうだ。

 ナースステーションに戻って画像を見ようとした時に、若い先生が病室に上がってきた。一緒に見始めると、若い先生が左下デクビタスで遊離ガスがあるのに気づいた。単純CTをみると間違いなく肝表面に遊離ガスがある。消化管穿孔による急性腹膜炎だった。脱水による腎前性腎不全かと思ったが、案外腎機能は正常域だ。造影CT検査を追加すると、さらに遊離ガスの分布がよくわかった。十二指腸周囲にガスがあり、十二指腸潰瘍穿孔疑いという読影レポートになった。

 外科医に連絡して、緊急手術になった。若い先生は手術に入って見てきます、と言って手術室に向かった。あとで手術に助手で入った外科医に会ったので訊いたところ、十二指腸潰瘍前壁の穿孔でした、と教えてくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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