7月12日(金)に地域の基幹病院脳神経内科から86歳男性が転院してきた。当院から搬送しているので、正確には戻って来たということになる。
認知症で隣町の施設に入所していた。グループホームなので、食事摂取・排泄・歩行などは自立していた。6月27日の朝に起きてこないので、職員が見にいくと、まだベットに寝ていた。
呼びかけても返答はなく、手足はそれに反応してなのか勝手になのかベット上で動かしていた。救急要請して当院に搬入された。膀胱瘻の管理を当院の泌尿器科外来で行っている。
救急担当の内科が対応した。画像検査は頭部CTで出血はなく、頭部MRIでも拡散強調画像で新規の脳梗塞はなかった(陳旧性左小脳梗塞はある)。胸部X線で肺炎像はなく、血液検査・尿検査でも意識障害をきたすような異常はなかった。心電図では心房細動があった。
「非けいれん性のてんかん重積発作も考えられる」ということで、地域の基幹病院脳神経内科に連絡して、搬送となった。
搬入時は開眼はしているものの発語はなかった。頭部MRI再検でも異常はなかったそうだ。入院後はその日のうちに発語がみられるようなっていた。
意識がはっきりしている時は自力で食事摂取もできるが、その後は反応がみられなくなったり、良くなったりを繰り返していた。脳波検査は異常を認めず、診断的治療として抗てんかん薬を投与しても変化はなかった。
「認知症による意識変容と低活動性せん妄」と考えます、と記載されていた。認知症の薬は発売されたばかりのアリドネパッチが開始されている。
療養転院は内科医が順番で受けているが、今回担当になったのは、搬送した先生ではなく、昨年尿路感染症・敗血症(大腸菌ESBL)の入院で担当した先生になった。
膀胱結石があったことから、非常勤の泌尿器科医が県庁所在地にある総合病院泌尿器科に紹介して、膀胱瘻造設・膀胱結石摘出術が行われていた。