11月14日に記載した85歳女性は、入院後に抗菌薬(スルバシリンABPC/SBT)を開始して、順調に軽快した。
画像からは誤嚥性肺炎と思われた。聴覚言語療法士(ST)に嚥下評価をしてもらうと、「いけます」ということだった。嚥下調整食3(ソフト食、ムース状)から開始したが、すぐに嚥下調整食4(全粥刻み、とろみ付き)に上げていた。
抗菌薬投与も1週間ちょっとで中止して、後は退院をどうするかとなった。最初は認知症はそれほどでもないのでは、と思われたが、やはり点滴抜去や不穏があり、体幹抑制は継続されていた。
それをうまくすり抜けて、ベットから起き上がっているところを発見されて、戻されたりしていた。日中は歩行訓練を行っているが、案外ADLは低下していないのはむしろ幸いだった。
自宅退院になるが、家族(同居していない家族)が施設入所を希望しているという話が出ていた。同居家族は本人が歩行できるのを確認している。問題はそこだけになっていた。
11月21日の午後に発熱があり、酸素飽和度が低下した。そこで、実は前夜はなかなか寝なかったという報告があった。不眠としてブロチゾラムを内服させていたが、あまり効かなかったそうだ。不眠時指示は、デジレル(トラゾドン)になっていたが、習慣で?ブロチゾラムを内服させたようだ。
朝に覚醒が悪く、セッテイングすると自分で食べているが、口の中に食物がたまっている状態でぼんやりしているのに気づいてそこでやめさせていた。要は誤嚥したのだった。
聴診すると、右肺にcoarse cracklesが聴取される。胸部X線(ポータブル)で確認すると、右肺野に浸潤影を認めた。食事を止めて、酸素吸入・点滴・抗菌薬を開始した。
すでに昼は食事を半分くらい摂取していたが、その時の嚥下もあやしい。いろいろと対応がまずかったことになる。