千葉大総合診療科の症例集「外来診療のUncommon disease 4」(日本医事新報社)が出たので、さっそく購入した。4とある通り、4冊目になる。
内容と関係ないが、このシリーズは紙質が良い。表面が滑らかで薄い。若干裏面の印刷が透けて見えるが、さほど気にならない。宮田靖志先生の「一発診断」(文光堂)は3冊出ているが、紙質は落ちる。
序文に、「今回、むずむず脚症候群の亜型をUncommonとして2例掲載した」とあり、Case 54にRestless back syndrome、Case 62にRestless abdomen syndromeの症例がある。
Case 54のLectureは、
Restless back syndrome
➡Restless back syndrome(RLS)は下肢の異常感覚が一般的な症状であるが、下肢以外にも生じる場合があり、発症部位に応じてrestless back syndrome、restless abdomen syndrome、restless face syndrome、restless arm syndrome、restless genital syndromeなどが報告されている。
➡ドパミン機能障害と考えられており、パーキンソン病(PD)で発症リスクが高いが、RLSがPDの先駆徴候になるかについては明らかでない。錐体外路症状であるために言語化しにくく、訴えは局所のふるえやだるさなど多彩となる。
➡また、RLSの寛解因子として、シャワー・マッサージ・歩き回るなので動的刺激のほかに、クロスワードパズル・コンピュータ作業などの知的活動や、ビデオゲームなどの感覚刺激でも症状が改善することが報告されている。
Case 62のLectureは、
Restless back syndrome
➡夜間に下肢の異常感覚が生じることで不眠の原因となるRLSだが、症状の部位は下肢に限局されず、腹部・体幹部にも生じうる。異常感覚を圧迫感(7%)や痛み(5%)として訴えることがある。歩き回ったりマッサージによって症状が寛解するが、対処行動を繰り返した結果、転倒し骨折するなど、二次的に外傷を生じた例が報告されている。
➡不快感がトリガーとなり反復行動を生じる結果として、トゥレット症候群や、抜毛・爪噛みを繰り返す身体集中反復行動症などが挙げられる。これらは内的衝動の前兆が反復行動の原動力となっている点でRLSと類似しており、島皮質・基底核など関連する神経経路の重複が示唆されている。
CareNeTV千葉大GMカンファランス第1回でRestless legs syndrome(Restless X sndrome)の症例を扱っていて、そちらの方が総説的に記載している。(当blogで2022年11月10日に記載)
Restless legs syndromeは思ったよりcommon diseaseで、千葉大総診で年に数例扱うそうだ。薄くてもいいので、それだけに特化した著書を出していただくと助かる。