jmed 88 「エコーガイド下CVC完全マスター」渡部修著(日本医事新報社)を購入した。他にもCVCの本は持っているが、単著なので分かりやすく、さまざまな工夫が記載してあるので購入した。
下記のmid thighアプローチを今度やってみようと思う。
感染対策上、大腿静脈からはできるだけCVカテーテルを挿入しないことが推奨されているが、様々な理由で選択せざるをえない状況がある。
大腿静脈穿刺は簡単な穿刺とみなされているが、動脈穿刺と血腫の頻度が他の穿刺部位と比べて高い。
それは2点で誤認しているためだという。
1点目は、大腿動脈のすぐ内側に大腿静脈は位置して、大腿静脈は鼠径部から末梢まで並走している、という誤認。2点目は、最適な穿刺点は鼠径靭帯から2~3横指尾側、という誤認。(鼠経溝が正しい)
鼠径溝付近では大腿動脈のすぐ内側に接して大腿静脈は並走しているが、そこから末梢へ進むにつれて、大腿静脈は大腿動脈の裏側に入り込み、大腿動脈と大腿深動脈の間を抜けて、さらに大腿静脈よりも外側に出て走行している。
要するに、大腿動静脈は交差している。
この交差を逆手にとった、mid thighアプローチがある。大腿静脈が大腿動脈の外側に出たところを穿刺する手法だ。
これだと穿刺部位がオムツの外になるので、感染防御の点で鼠径部より有利になる可能性がある(データはない)。ただ通常のCVカテーテルを挿入すると、先端が下大静脈まで届かず、最大でも総腸骨動脈レベルにとどまる可能性が高い。(PICCを留置することも選択肢になる)
ただこのアプローチだと、静脈は細くなり、より深部を走行している。プレスキャンでよく見て、できそうな症例から試していくのがいいのだろう。