11月28日(火)に他の町の精神科病院から、5日間嘔吐が続く79歳女性が搬送されてきた。
アルツハイマー型認知症で入院してるが、寝たきり状態で発語もなかった。11月初めから食事をとらせようとしても、口を開かなかったという。
腹部は少し膨満しているが、割と柔らかい。圧痛としてはとれなかった(表情が変わらない)。下痢はなく、むしろ便秘だった。癌による腸閉塞だと当院では(外科手術ができないので)対応できない。
CT(当初は単純で、造影も追加)で見ると、胃液が貯留して十二指腸下降脚までガスで拡張している。小腸はほとんど拡張していなかった。大腸はガスで拡張していて、上行結腸の限局性壁肥厚(浮腫状)とS状結腸のある程度長さをもった壁肥厚を認めた。(読影に来ていた非常勤の放射線科の先生に診てもらったが、癌ではありまえせん、と)
腸閉塞とはいえなかった。上腸間膜動脈症候群も考えたが、有意な十二指腸の締め付けはない。
経鼻胃管を入れようとしたが、ある程度入ったところで口側がたわんでしまう。めったにないが、透視下で挿入した。すると、黄色の便臭のある消化液が吸引されてきた。これだけ見れば、第腸閉塞による腸閉塞だが、画像上はいえない。
両側肺に嘔吐の誤嚥による誤嚥性肺炎もある。基幹病院外科に依頼するわけにもいかないので、当院で経過をみることにした。
その後、経鼻胃管からの吸引液は胃液らしいものになってきた。運よく軽快しても経口摂取はできない病状になっていると思わるが、できる範囲で治療するしかない。