11月9日は感染管理の合同カンファランスで感染管理加算1の病院におじゃました。当院などの加算2の病院がその指導を受ける形になる。
感染管理の認定看護師さんと認定薬剤師さんは頑張っているが、医局の方は回り持ちで感染管理室長をされていて、必ずしも感染症の専門ではない。
血液内科を始めとして免疫抑制の患者さんが多いので、感染症内科医がいてコンサルトを受けるようになるのが好ましいのだろう。(月1回大学病院の感染症内科の先生がラウンドをしている)
いつものように各病院での、耐性菌発生状況・抗菌薬使用の傾向・感染管理ラウンドの結果方向があった。当院は検査技師さんも(今回は多忙で不参加)薬剤師さんも発言したがらないので、当方がまとめて報告している。(各病院の中で一番簡略した発表)発熱外来を行っているのは当院だけなので、その結果を加えたりした。
今回は感染管理の実技をすることになっているが、PPEの着脱は何度もやっていて、具体的に何をしていいかと先方の認定看護師さんが悩んでいた。
COVID-19が5類感染症になって、病床確保の保証もなくなった。ふだんは一般病床として使用している病室をCOVID-19の患者さんが入院した時だけ、感染用病室として使用することになる。
そうすると、グリーンゾーンとレッドゾーンはいいが、イエローゾーンは設置できなくなってしまう。一応実技ということで全員立って行ったが、実際は各病院ではその場合どうしてますかという話し合いになった。
入室前にPPEを装着するが、病室から出る時はドアの近くをイエローゾーンを想定して、そこでガウンなどは脱ぐ。N95マスクだけは付けたまま病室を出て、出たところでN95マスクを外すことになる。
精神科病院も入っているので、病室内にPPE用の容器を置いておくのは危険でできません、という話がでた。
2時間くらいで終わって帰ろうとすると、血液内科の先生から相談があります、といわれた。結核の患者さんが出たということだった。呼吸器内科医がいる病院なので、そちらと相談された方が、と伝えた。すると、ぜひ先生にという。相談というよりは愚痴を言いたかったようだ。
悪性リンパ腫の患者さんが、呼吸器症状には乏しかったが、画像で両側肺内に粟粒影が散布していた(胸膜にもかかっていて、まさに粟粒結核)。
胸壁から出たリンパ腫らしいが、その近傍に数か月前からair bronchogram(数珠様の不整な気管支拡張)を伴う浸潤影があり、そこは器質化肺炎とされていた。抗癌剤投与は難しい病状となっていたが、ステロイド投与は継続していた。
喀痰塗抹はそもそも喀痰が出ないのでできず、胃液を提出すると塗抹陽性・結核PCR陽性と出た。すでに抗結核剤3剤で治療が開始されている。
保健所から、3か月前にさかのぼって接触者健診をするように、と指導された。入退院を繰り返している患者さんなので、その間に3回入院して病棟も別々だった。ということは、対象となる職員数も多数で、同室となっていた患者さんたちもかなりの数に上る。これを全部やるんでしょうか、という。
やらなくていい、とは誰もいえない。とりあえず今回入院の病棟の職員と同室者から始めていくしかないのだろう。
当院でも5年に1例くらい肺結核と入院後に判明することがある。いかにも肺結核という画像ではなく、通常の肺炎と同じような陰影の結核性肺炎の形だった。
抗菌薬に反応しないことなどから、喀痰の抗酸菌塗抹を提出する。すると、塗抹陽性・結核菌PCR陽性と判明してびっくり、というパターンだ。
当院の場合は、担当医と1病棟分の看護師さんが接触者健診の対象になる。20数名で胸部X線・IGRA(T-SPOT)を行うが、職員健診の前倒しのように行うので、手間ではあるがなんとかやれる。同室者となった患者さんは3名か(移動があると)5名くらいが対象になる。
職員が1~2名が潜在性結核感染症(latent tuberculosis infection:LTBI)として治療(INH)を受けたりしていた。大学病院から呼吸器外来に来てもらっている先生が抗酸菌感染症の専門医なので、おまかせしている。
「数が多くて大変ですねえ、感染管理で来られている先生にご相談下さい」と、お伝えした。はい、当方何の役にも立ちません。