なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

トホグリフロジン

2022年10月28日 | Weblog

 今年も製薬メーカーの社内研修会に呼ばれた。社内研修会というのは、MRさんのプレゼンテーションを聴いて、感想を述べるというものだ。

 当院に循環器科があった時に、フレンドリーな循環器科医が呼ばれていたが、県内有数の市立病院に転勤になった。その後、当方に声がかかって昨年出席してきた。

 今年また呼ばれたので、「違う先生に見てもらったほうが、いろいろな意見が聞けていいのでは」と伝えた。「いやいやぜひ先生に」というのは、あまり引き受ける人がいないらしい。

 興和で出しているデベルザ(トホグリフロジン)とパルモディア(ペマフィブラート)のプレゼンだった。デベルザは欧米では販売されていないので、大規模臨床試験はできない。適応症は2型糖尿病だけに留まっていて、SGLT2阻害薬の中では売り上げは伸びていない(はず)。

 

 利点は約5時間とSGLT2阻害薬の中では一番半減期が短いことで、朝に服用すると夜間には効いていないので夜間頻尿が少ない。1日尿糖排泄量は他のSGLT2阻害薬とかわらないので、日中に集中して尿糖を排泄することになる。夜間低血糖も起きにくい。

 昨年と比べて今回のプレゼンは、SGLT2阻害薬の一般的な特徴はさらっと流して、夜間頻尿が少ないことを中心にしていて改善(進歩?)していた。

 エビデンスのあるフォシーガやジャディアンスを投与するが、夜間頻尿があると、デベルザに変更したりしている。夜間頻尿がある患者さんでは、最初からデベルザを使用している。忍容性が高い。

 心不全などに対する効果などは、臨床試験で証明できないので、「そこはクラスエフェクトです(共通です)」で逃げる作戦でいけばいいのではと伝えた。

 

SGLT2 阻害薬の半減期
薬剤名 T1/2(h)
トホグリフロジン  5.40
ダパグリフロジン  13.8
カナグリフロジン  13.1
イプラグリフロジン  14.97
エンパグリフロジン  10.2
ルセオグリフロジン  11.2

コメント
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