処方箋の疑義紹介で呼吸器科を受診した患者さんを確認した時に、見覚えのある患者さんの名前があった。2015年に好酸球性肺炎で、呼吸器科外来に来てもらっている先生の病院に紹介した患者さんだった。
この方は、当時の院長先生(外科)が休日の日直をしていた時に受診した。胸部X線・CT検査をして急性肺炎と診断した。
内科医は忙しくて大変だろうと思ったか、その日の内科当番に連絡するのが面倒だったのかは不明だが(たぶん前者)、院長先生自らが主治医となって入院とした。
抗菌薬を開始したが、発熱が続き、血液検査の結果も改善しなかった。外科の先生が肺炎の患者さんを診ているなあと、カルテをチェックした時に、通常の肺炎ではないのに気づいた。
浸潤影が肺野末梢というか胸膜下に分布している。非区域性で上葉に目立つのも奇異な印象だった。そして血液検査で、好酸球増加を認めた(入院時が28.1%、その次の検査で41.0%)。通常の抗菌薬に反応していない。
これは好酸球性肺炎ではないでしょうか、と伝えた。呼吸器外来に来ていた先生と相談してもらい、その先生の在籍する呼吸器センターのある病院に転院となった。
精査の結果、(慢性)好酸球性肺炎と診断されて、プレドニン投与(30mg/日)で軽快した。その後、当院の呼吸器外来に通院になったのを確認はしていた。
いったんプレドニンを漸減中止となったが、再発してまた30mg/日から開始となった。軽快して再度漸減中止となったが、2度目の再発を来していた。その後はプレドニン継続投与となり、現在は7.5mg/日で治療していた。
改めて発症時(診断時)の胸部CTを確認すると、これは今ならCOVID-19を考えるような陰影だった。黙ってこの画像を見せられたら、「これはコロナだ」と言ってしまうだろう。