なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

急性細菌性前立腺炎

2022年10月19日 | Weblog

 月曜日に発熱患者の救急搬入を受けた内科の別の先生から、まだ検査結果が出ていないが、その後を診てほしいといわれた。その日の午後はコロナワクチンの問診があり、午後1時までに会場に行かなければならなかった。(戻ってくるのは午後5時前)

 73歳男性で、日曜日にも発熱と嘔吐で救急外来を受診していた。日直医(外部の先生)がコロナの抗原定性試験陰性として、げ解熱薬を処方していた。

 発熱は40℃で悪寒があり、歯がガチガチとはならなかったそうだが、毛布をかぶっても治まらないので悪寒戦慄といっていい。年齢的にも細菌感染による敗血症が疑われる。

 

 発熱以外の症状はなかった。嘔吐は高熱と悪寒戦慄に伴ったもので消化器症状とはとれない。めまいも訴えたが、それも発熱に伴うふらつきだった。

 検査結果を確認すると、胸部X線・CTで肺炎像はなかった。尿所見も正常だった。肝機能障害はなく、CTで胆嚢内に小結石があったが、胆嚢腫大はない。

 今年の1月まで当院の泌尿器科外来に通院していた(担当医は大学病院からの出張)。健診で血清PSA が正常域を越えていた。フォローでもPSA値が5~6で推移していた。

 生検目的で地域の基幹病院の泌尿器科に紹介された。ただPSA横ばいで、生検には至っていなかった。9月の検査でも同様の値だったそうだ。

 CTで前立腺肥大と石灰化はある。血清PSA を追加すると11ng/mlとふだんより高かった。他疾患が除外されればだが、急性細菌性前立腺炎が疑われた。直聴診をしたが、前立腺に圧痛はないといわれた。

 尿検査の時に尿培養も提出されていた。血液培養2セットを追加して、入院とした。胆嚢が気になったので、腹部エコーを追加した。胆嚢内にdebrisが目立つ。しかしエコープローベで胆嚢を押しても全く痛みはない(呼吸も普通にできる)。

 前立腺炎だと通常はセフトリアキソンだが、胆嚢内のdebrisが気になるので、ニューキノロンのクラビット点滴静注にした。

 入院日の朝方まで高熱があったが、翌火曜日に病室に行った時には解熱していた。「今は楽です」、といわれた。細菌検査室から血液培養2セット4本からグラム陰性桿菌が検出されたと報告がきた。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする