なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

酸素8L/分から無事に退院~COVID-19

2022年10月26日 | Weblog

 昨日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で入院していた86歳女性が無事に退院した。最大で酸素吸入8L/分まで要して、どうなるかと思ったが何とか回復した。

 10月12日に発熱で別の病院を受診して、COVID-19 と診断された。保健所に発生届けが提出されて、当院に入院依頼がきた。酸素飽和度の低下もあるが、基礎疾患もあった。

 高血圧症・糖尿病で内科医院に通院していて、さらに類天疱瘡で地域の基幹病院皮膚科からプレドニン(9mg/日)が処方されていた。大分リスクが高い。

 通院している基幹病院に入院にしてもらいたいと思ったが、先方はコロナに入院数が7名になっていた(最大9名まで)。当院はコロナの患者さんが次々に退院して、その時の入院は1名だけになっていて、断りにくかった。

 入院の時点で酸素吸入5L/分を要した。胸部CTでは両側肺の下肺野背側にすりガラス陰影があるかもしれないが、左肺の浸潤影が目立った。コロナといわれなければ、通常の肺炎と判断されるような陰影だった。

 

 白血球15100・CRP7.4と炎症反応が上昇している。コロナの感染単独とすれば、白血球増加はかなりまずい。ただ陰影から判断すると、コロナに罹患してある程度経過したところに細菌感染を併発した可能性がある。レムデシビル点滴静注と抗菌薬を開始した。

 入院後も発熱が続き、一時は酸素吸入8L/分まで要した(夜間で目標酸素飽和度の指示に従って、看護師さんが調整)。どうなるかと思ったが、案外患者さんは普通に話もできていた。1日で酸素5L/分まで戻せたので、痰が詰まったりしての低下かもしれない。

 4日目には解熱して、そこから酸素投与量は漸減できて、1週間経過して酸素吸入中止となった。介助は要するが、食事摂取できるようになった。

 

 最近入院してくるコロナの高齢者は、細菌感染併発と思われる陰影を呈することが多い。従来のコロナと違って、オミクロンはインフルエンザのように二次性細菌性肺炎が問題になるそうだ。

 岡秀昭先生は、当初コロナは中等症までは細菌感染を併発しないので抗菌薬は不要といっていた。しかし、最近は最初から細菌感染症併発で抗菌薬を要するようになったと、COVID-19特講で述べられている。

 

 基幹病院では何度目かの院内発生(たぶんクラスター相当)で、コロナの入院が13名になっていた。5~6名は院内で発生した患者さんを感染病棟に移動させたと思われる。職員の家族(ドクターの奥さん)が当院にいるので訊いてみた。職員の院内持ち込みからの発生らしいということだった。

 当院で手に負えない重症患者さんを受け入れてもらえなくなるので、かなり困る。病状軽快したが退院にできない患者さん(自宅で介護できない、リハビリを要するなど)を当院で引き受けて(転院)協力していくしかない。

 

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