なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

約5か月ぶりに戻ってきた

2022年10月09日 | Weblog

 木曜日に地域の基幹病院から88歳男性が転院してきた。当院に肺炎で入院して軽快していたが、急に低血圧・低酸素血症になり、急性心筋梗塞疑いで先方の病院に搬送していた。

 搬送したのは5月11日で、それからずっと入院していたのだった。平均在院日数11日くらいだった病院としては異例の長期入院になるが、帰すに帰せない経過だった。

 

 搬送を打診した時ば、高齢で難しいかと思ったが、先方の病院に急性心筋梗塞で入院した既往があり、あっさり引き受けてくれた。心電図は完全右脚ブロックになっていたが、その意味に思い至らなかった。

 転院後は循環器内科で、心筋梗塞ではなく、肺血栓塞栓症と診断されていた。重症度は同じなので、その治療となった。ヘパリン点滴静注、DOAC内服になった。

 しかしその後肺炎になって、呼吸器内科に転科していた。中心静脈カテーテル感染(カンジダ感染)を来して、その後直腸潰瘍からの出血で消化器内科の扱いになった。またMRSA菌血症が遷延して、さらには新型コロナウイルス感染症の院内感染にもなった。(何度か院内クラスターが発生して診療制限をしている)

 

 もともと施設でトイレ歩行はできていたが、ADLが低下してほぼ寝たきり状態となり、経口摂取も誤嚥性肺炎になって、断念されていた。

 中心静脈栄養、ヘパリン持続静注の状態での転院となった。「急変時DNRを前提に中心静脈栄養を継続して下さい」、という紹介だった。当院からの転院だったので、先方の希望の日に引き取った。

 右内頚静脈からカテーテルが挿入されていたが、シングルルーメンだった。ヘパリン持続静注は側管から入れるが、抗菌薬投与を要する時にちょっと使いずらい。

 連休明けから嚥下訓練を行って、楽しみ程度の経口摂取を目指すが、誤嚥性肺炎を来すだけかもしれない。家族は神奈川県と埼玉県に息子さんたちがいる。転院日は神奈川県の息子さんが来ていた。(自分のことは神奈川とは言わず、「横浜」と言って、もう一人の息子さんのことは「埼玉」と表現していた) 

 安定した状態が続けば、療養型病床のある病院への転院になります、とは伝えておいた。息子さんも「もう年だし」「もう満身創痍で」とは言っていた。数々の疾患を乗り越えてのお帰りなさいなのだった。

 

 入院翌日に発熱があり、胸部X線では肺炎像はなかった。カテーテル関連血流感染症疑いとして、血液培養2セットを提出して、バンコマイシンで治療を開始した。やれやれ、なのだった。(抗菌薬は末梢静脈から投与)

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする