なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

飲酒の理由

2022年10月23日 | Weblog

 先週金曜日に入院した非代償性アルコール性肝硬変の73歳女性は、翌週には食事もとれて、顔つきもぐっと良くなっていた。若干記憶力に問題があるかもしれないが、長い会話も可能だった。

 

 最初夫との関係が分かりにくかったが、現在の夫とは再婚だった。県庁所在地にある放送局に勤務していたそうだ。(父親は長年当市の市会議員をしていた方だった)

 結婚して、当時なので仕事を辞めた。長男が生まれたが、3年くらいで離婚に至った。親権の問題があり、収入を得る必要があった。ちょうどその頃に、スナックを経営していた従兄弟(いとこ)が引っ越して店をたたむことになった。そのスナックを引き継いだそうだ。

 スナックなので当然飲酒する。ビールと焼酎を飲むが、ウイスキーは匂い(香り)がいやで飲まないそうだ。その後、現在の夫と付き合うようになり、子供(二男)ができたので結婚した。結婚を機に、スナック経営はやめた。

 スナック経営はやめたものの、飲酒の習慣は続いたようだ。飲酒量としては男性の2/3くらいで肝硬変になるはずだが、日本酒換算4~5合/日以上は飲んできたのだろう。

 

 当方は飲めないので、何とも言えない。たぶん父親も飲めなかったはずだが、昔の人なので、酒を飲めないのは恥ずかしいということで無理して飲んでいた。頑張ればアルコールの別の代謝経路が発達するので、ある程度は飲めるようになるが、飲める人のようにはいかない。

 亡くなったおじ(母親の姉の夫)はもっぱらビールだけを飲む人で、毎日のように大瓶5本以上飲んでいた。水分量として随分飲めるものだと感心するが、ビールなら飲めるのだった。

 県庁職員で農業指導をしていたが、自分で作ると発育の悪い野菜ができて揶揄されていた。手をかけるのが面倒で、畑はほったらかしにしていたのだろう。時間があればスナックに行くのが好きで、相当お金をつぎ込んでいた。

 

 アルコールの単位について、厚生労働省のホームページにわかりやすい記載がある。

飲酒の単位

 酒を飲んで「酔い」などの効果をもたらすのはアルコールですが、酒に含まれるアルコールの濃さ(強さ)は千差万別です。アルコールの体や精神に対する影響は、飲んだ酒の量ではなく、摂取した純アルコール量が基準となります。酒に含まれる純アルコール量(ドリンク数)を知っていれば、飲んだ酒の影響や分解時間などが推定できます。

 酒類とは酒税法で、アルコール(エチルアルコール)分1度以上の飲料(薄めてアルコール分1度以上の飲料とすることができるもの、または溶解してアルコール分1度以上の飲料とすることができる粉末状のものを含む)と定義されています。ご存知の通り、酒は様々な原料から様々な製法で作られ、無数とも言えるほどの種類があります。また、それぞれが、異なった特有の濃度のアルコールを含んでいます。
 酒を飲んで「酔い」などの効果をもたらすのは、このアルコールです。従って、アルコールの体や精神に対する影響は、飲んだ酒の量ではなく、摂取した純アルコール量が基準となります。純アルコール量で比較すれば、酒の種類や強さを考えずに、影響が推定できます。

1. 純アルコールの計算

 酒のラベルには、中に含まれるアルコールの度数が書かれています。この度数は、体積パーセント(%)を意味します。
度数5または5%のビールとは、100ミリリッター(mL)に、純アルコールが5mL含まれているビールということです。
通常、純アルコール量は、グラム(g)で表わされます。5%のビールの中ビンまたはロング缶1本(500mL)に含まれている純アルコール量は、アルコールの比重も考慮して、以下のように計算します。

500(mL) × 0.05 × 0.8 = 20(g)

酒の量(mL) × 度数または% / 100 × 比重 (0.8)= 純アルコール量(g)

2. 基準飲酒量(ドリンク)

 飲酒量を純アルコールに換算して分かりやすく表示する方法が多くの国で行われています。その基準となるのが、「standard drink(基準飲酒量またはドリンク)」で、各国で定められています[1]。例えば、米国では1ドリンクは14gのアルコールで、これはビール小ビン1本の量です。オーストラリア、ニュージーランドは10g、デンマークは12g、英国は8gです。

 わが国では基準飲酒量として「単位」を使用してきました。1単位はおよそ日本酒1合に相当し、約20gのアルコール量です。しかし、基準飲酒量は飲酒の最小単位と捉えられることが多く、この量は関連問題の予防の観点から多すぎると考えられます。また、国際的にも、わが国の「単位」は突出して高いため、近年、1ドリンク = 10gという基準量が提案され、使用されています。

3. 各種類の1ドリンク

 基準飲酒量は、飲んだ真のアルコール量を把握できるため非常に便利です。1ドリンクに相当する酒の量を表にまとめました。この量は飲んだアルコールの分解時間の推定などにも役に立ちます。

酒類の1ドリンク量
酒の種類(基準%) 酒の量 だいたいの目安
ビール・発泡酒(5%) 250mL 中ビン・ロング缶の半分
チュウハイ(7%) 180mL コップ1杯または350mL缶の半分
焼酎(25%) 50mL
日本酒(15%) 80mL 0.5合
ウィスキー・ジンなど(40%) 30mL シングル1杯
ワイン(12%) 100mL ワイングラス1杯弱

 

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