なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

前立腺癌?、前立腺炎?

2021年12月07日 | Weblog

 先週の金曜日12月3日に、85歳男性が地域の基幹病院救急科から転院してきた。一人暮らしで娘さんが通って世話をしていた。

 12月1日に娘さんが訪問した時には不在で、行方が分からなかった。近隣の住民が創作して、林の崖下に倒れているの発見した。その日は雨で、全身びしょ濡れ状態だった。

 先方の病院に救急搬入された時、体温が29.1℃まで低下していた。体温以外のバイタルサインは問題なかった。低体温症として、治療(加温)して、体温は36℃まで戻った。不穏があり、ドルミカムを使用したとある。

 そのまま自宅退院とはできないので、12月2日に転院依頼が来た。空きベットがない病院なので、翌日の3日に転院してもらったという経緯だった。

 診療情報提供書には、社会調整の問題と、炎症反応上昇・腎障害(もともとCKD)・血液凝固異常の問題があり、入院治療をよろしくとあった。当院向きの患者さんだった。

 今回のエピソードはもともと認知症相当で、徘徊して自宅に戻れなかったということのようだ。転院後も落ち着かず、病棟の看護師さんが体幹抑制することになった。就寝前のデジレル25mgと、不穏時のセロクエル25mg錠も処方した。薬剤調整をして、見守りだけで抑制なしにもっていきたい。

 介護保険申請もこれからで、施設入所までは少なくとも3か月はかかるだろう。一般病棟で診て、地域包括ケア病棟に移動して、手続きを進めることになる。

 

 転院後も微熱が続き、炎症反応の上昇が続いていた。送られてきたCDに入っていたCT画像を見ると、前立腺肥大がある。

 

 尿所見は混濁していて、尿路感染を示唆していた。血清PSAを測定すると、30ng/mlと上昇していた。前立腺癌か前立腺炎による上昇だった。

 前立腺炎の治療をして、血清PSAが低下するかどうか確認する必要がある。泌尿器科の先生(非常勤)にも相談することにした。

 

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