なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

低血糖脳症(続き)

2021年12月28日 | Weblog

 昨日記載した低血糖脳症(後遺症)の59歳男性は、インスリン強化療法で治療していた。

 神経内科医から内科に、入院中の糖尿病の治療を依頼された。医療センターでは、当院糖尿病外来でのインスリン量より減量して治療していた。

 糖尿病は1型糖尿病だった。超速効型インスリン毎食前と持効型インスリン就寝前の強化療法で、外来では1型にも適応があるSGLT2阻害薬(フォシーガ5mg)も処方されていた。

 入院歴とこれまでの検査結果を確認した。2002年(40歳時)に高熱・腹痛(心窩部痛)・意識障害(軽度)で発症していた。他院からの紹介で当時の消化器科の医師が担当していた。

 画像検査で腹痛を来す疾患は否定的だった。血糖が1342mg/dlと著しい高血糖・尿ケトン体陽性があり、糖尿病性ケトアシドーシスを呈していた。ただしHbA1cが5.8%(当時はJDS)と正常域だった。

 膵酵素は腹痛で血清アミラーゼは測定されていて正常域だった。血清リパーゼなど外注になる膵酵素は測定されていない。著しい血糖の割にHbA1cが正常域なので、1型糖尿病の中でも急性ではなく、劇症1型糖尿病に相当する。(当時は劇症1型糖尿病の概念はなかった)

 発症時の血中Cペプチドはすでに測定感度以下で完全に枯渇していた。抗GAD抗体は陰性だった。劇症1型糖尿病で間違いないだろう。

 入院後は点滴とインスリン持続静注で治療されて改善していた。インスリン強化療法ではなく、混合型インスリンの2回打ちだった(50Rだった)。(その後はインスリン強化療法に変更になっている)

 低血糖は極力されるため、持効型インスリンは一定量で継続するとして(インスリン枯渇で基礎インスリンもない)、超速効型インスリンは少なめで調整する。

 

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