なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

久しぶりの受診~糖尿病には禁忌

2021年12月20日 | Weblog

 現在78歳の女性を娘さんが連れてきた。受診が中断していて、今年6月に娘さんが1か月分の処方だけ取りに来ていたが、その後も受診はしていなかった。

 一人暮らしをしていたが、活発な方で、カラオケなどの会に参加していた。会の仲間たちといっしょに旅行にいった話をよくしていた。

 数年前から認知症の症状が出始めて、予約日を忘れるようになった。その1~2週間後などに受診していたので、薬がなくなったのに気付けば受診することはできた。昨年から中断したままになり、娘さんにいわれてやっと受診するようになった。今年になってからは高血圧症と糖尿病で通院していることも気にしなくなったようだ。

 娘さんが精神科病院になんとか連れて行って、内科からアリセプトを処方して経過をみて下さいということになった。物忘れはあっても、取り繕いがうまいというアルツハイマー型の特徴があり、知らない人ならば認知症と気づかないような対応をする。

 今日の結果は、HbA1cが7.8%とびっくりするような値ではなかった。DPP4阻害薬1剤で6%台後半にはなるので、再開することにした。認知症の患者さんでは、DPP4阻害薬だけの治療が一番無難だと思う。

 一人暮らしのままだったが、毎日デイサービスに行くように、予定を組んでもらっているそうだ。1日1回の処方ならば、施設に依頼できる。

 デイサービスでは血圧を測定するが、高値と問題になっていないそうだが、150くらいにはなっていたらしい。今日は正常域だった。降圧薬3剤(ARB、Ca国交薬、α遮断薬)を処方していたが、Ca拮抗薬1剤だけを継続とした。

 

 まずいと思ったのは、11月から精神科病院でセロクエル(クエチアピン)が(37.5mg/日)から処方されていたことだった。娘さんは糖尿病があることは伝えてあるというが、認識されていなかったようだ。糖尿病があると、セロクエル(クエチアピン)とオランザピン(ジプレキサ)は禁忌になる。リスパダール(リスペリドン)に変更してもらう必要がある。

 娘さんによれば、この薬を飲んでから、いい感じにおとなしくなったという。介護拒否があるので、何らかの抗精神薬は継続したほうが介護しやすい(抑制系の認知症薬もあるが)。

 先方に直接お話します、と娘さんが言うので、診療情報提供書は書かなかった。改めて、糖尿病がありますと言えばすぐにわかるはずだ。

 元気なころを知っているので、従順ではあるが、活気のない様子は少し寂しい気がする。それでも、こうなると家族の希望に合わせて対応することが第一にはなる。

 

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