なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

横紋筋障害

2021年12月31日 | Weblog

 先週金曜日の当直は外部の病院医師で、それまで救急外来・院内対応を担当する副直だった。

 前日から動けなくなった78歳女性が救急搬入された。一人暮らしで、精神科病院にレビー小体型認知症で通院していた。娘さんが通いで世話をしているそうだ。

 数日前から動きが悪くなっていたので、急性の経過だった。両大腿の痛みを訴え、把握痛があった。両肩・上肢の痛みはない。一瞬リウマチ性多発筋痛症を考えたが、違うようだ。

 あえて言えば右半身の動き悪いように見えたので、頭部CTと頭部MRI(拡散強調画像のみ)を行ったが、新規の脳血管障害はなかった。

 血液検査で白血球6400・CRP2.1と軽度の炎症反応状上昇があり、CK 4861・AST 135・LDH 411と筋原性酵素の上昇があった。確かに筋痛・把握痛があっておかしくない。

 内科医院から高脂血症でアトルバスタチン(リピトール)が処方されていたので、スタチンの副作用の可能性はある。多発性筋炎の否定はできないが、たぶん違うのだろう(膠原病のマーカーは提出)。

 何年か前に横紋筋障害を来した高齢男性の入院が続いたことがあった。外来で同様の高齢女性もいた。何らかの感染(ウイルス性?)が疑われる一過性の症状と思われた。

 自然経過で回復した患者さんもいたが、そうはいかずプレドニン20mg/日を投与した患者さんもいた。その後はプレドニンを漸減中止して、特に再発再燃はなかったので、多発性筋炎ではないはずだ。

 この患者さんも同様ではないか。月曜日(3日後)には、白血球5800・CRP0.7となり(抗菌薬もステロイドも使用していない)、筋原性酵素も、CK 759・AST 63・LDH 419と改善した。(LDHは酵素の半減期の問題だろう)

 このまま経過をみていいようだ。介護保険は申請したばかりで、認定を待って施設入所の手続きをするので3か月くらいの入院にはなる。

 日中はほぼ普通に会話が可能と思ったが、入院後は夜間に幻視・不穏があった。最近はせん妄リスクのある患者さんには、デジレルを使用している。いい感じに効いて、錠数の調整でうまく対応できる。

 

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