なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

循環器疾患でした

2019年12月09日 | Weblog

  先週の土曜日は日直だった。当院の循環器科に8月初めから11月下旬まで入院して、その後施設に入所した84歳女性が、呼吸困難を訴えていると、施設の嘱託医から連絡が入った。心房細動・心不全の患者さんだった。

 当院の循環器科は平日時間内営業なので、土日は対応できない。最初から循環器科のある病院に送って方がいいかと思ったが、嘱託医としては当院からの紹介なので、まず当院でということだった。

 救急搬入されると、確かに慢性心不全の急性増悪だった。退院時でも右胸水は貯留していたが、悪化していた。BNPが普段でも300~400あるが、700になっていた。

 搬入時は血圧が160mmHgあり、酸素吸入0.5~1L/分程度で酸素飽和度97%と良かった。明らかな認知症はなく、会話可能だった。循環器科に入院した時のラシックス注、ハンプ注で、何とか月曜日に引き継ぐことができるかもしれないと思った。

 ただ内服薬がラシックス、サムスカで、ピモベンダン内服も入っていて、フルに処方されている。静注薬の追加でどれだけ反応するかという不安はあった。

 入院後に血圧が90mmHg台になり、尿量は200ml程度しか排出されなかった。到底月曜日はで持たないと判断されて、その日のうちに心臓血管センターのある専門病院に救急搬送になった。悪くしてから送ったので、それなら最初から送れば、という結果になった。

 前回長期入院になったのは施設待ちのためと思ったが、循環器科の病室の看護師さんに訊くと、心不全が落ち着かなかったからという。そもそも当方が診るのは荷が重かったようだ。

 

 他に、一過性意識消失(失神)の88歳女性が救急搬入された。倒れた時に家族が駆けつけて、意識が戻るまで5分くらいかかったそうだ。救急隊到着時には意識清明だった。

 心電図モニターには上室性頻拍が数秒から数分続いていた。(横臥した状態だが)頻拍時も自覚症状はないので、ふだんからあるのかもしれない。

 昨年直腸穿孔で当院の外科で手術を受けていた(人工肛門造設)。入院中に発作性頻拍があったという記載があり、12誘導心電図での記録はなかったが、心電図モニターでの判断らしい。ベラパミル(40mg)3錠分3が開始されていた。

 退院後は内科クリニックでベラパミル内服が継続されていた。ベラパミル1A注で洞調律に戻ったが、その後も数秒~数分の頻拍が続いた。徐脈性不整脈はみられなかった。病棟に上がってから頻拍が続いたので、ビソノテープ4mgを追加した。その後は洞調律になっていた。

 翌日の日曜日の朝に(日直後に病院に泊まっていた)、病棟看護師さんから洞調律だが、心拍数が日中は50台/分で夜間には30/分台になることもあった報告があった。ビソノテープ2mgに減量して、その後は50~60/分の洞調律になった。

 今日循環器科に報告したところ、精査しますということで、心血管性失神疑いとして循環器科転科となった。

 

 今日はドクターヘリが到着します、と全館放送が流れた。重症の患者さんは救急車で当院の駐車場まで運んで、そこからドクターヘリで大学病院か医療センターに行くことになっている。

 単に発着所を貸しているだけと、事務は思っていた。しかし実は、ドクターヘリで運べないほど重症の場合は、そのまま当院の救急室に搬入されるのだった。当院の駐車場から救急室に突然に今そちらに運びますと連絡が入るのだった。

 今日の患者さんも胸痛を訴えて救急要請したが、ドクターヘリに運ぶ前に心肺停止になった。ヘリで来ていたドクターが心肺蘇生をしながら、当院救急室に運び入れた。

 その後、残念ながら死亡確認となった。AIで死因となる異常が認められずとして、検死となっていた。当方が見ると、もともと慢性肺気腫があり、両側肺炎を来したように見えるが、発症様式は心臓病だ。

 

コメント
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