なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

肝膿瘍

2019年12月02日 | Weblog

 61歳男性が2週間以上前から38℃の発熱が続き、通院していた内科クリニックから紹介されてきた。経口抗菌薬をレボフロキサシンからメイアクトに変更しても症状が続いていますという内容だった。

 すでに10日前には白血球15300・CRP20とかなりの炎症反応上昇を認めていた。胸部X線と尿検査は異常なしとあるので、原因がわからないままに抗菌薬を投与していたようだ。

 最近跡を継いだ2代目の先生だった。以前いた循環器科の先生から聞いたところでは、父親の先生も、「心不全の治療を外来でして、いよいよ悪化してから紹介する」ということだった。外来で引っ張る傾向があるのは親子で似ているようだ。

 新患担当の先生が外来で普通に診察して、炎症反応上昇(白血球14200・CRP28.0)と胆道系酵素上昇が目立つ肝機能障害(AST 41・ALT 65・LDH 201・ALP 844・GTP 199・総ビリルビン2.1)を認めた。

 「急性胆管炎あるいは肝膿瘍疑い」として腹部造影CTを検査した。肝臓内に複数の膿瘍を認めて、診断は肝膿瘍と確定した。腹部エコーでみても胆嚢・肝外胆管には異常を認めなかった。

 肝膿瘍は化膿性かアメーバ性かとなるが、アメーバ性を考慮する状況ではないらしい。現在の病状ではまだ液状の膿瘍が熟成?していないので、すぐ緊急ドレナージの適応はない。当院では(ドレナージの問題で)外科にお願いしているので、外科入院でみてもらうことになった。

 新患担当の先生は、大学病院からバイトで来ている若い先生(大学院生)だった。もう一人若い女性のことでも相談された。高熱が先行して、その後に頻回の下痢(水様便)になっていた。「カンピロバクターと思いますが、入院か外来かを含めて診て下さい」ということだった。みごとな対応で、恐れ入りました。

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする