なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

発熱が続く

2019年06月21日 | Weblog

 内科の若い先生(地域医療研修の内科専攻医)に相談された。先週入院した76歳女性が入院後も発熱が断続的に続いているという。

 この方は一人暮らしでて、近くには息子夫婦がそうだ。家庭菜園で作業をしている時に、意識消失はないが、ふらつき・脱力で倒れてしまった。近くの人が気づいて救急要請した。

 午後6時過ぎに当院に搬入されて、当直医だった外科医が対応した。胸腹部CTでは肺炎などの異常を指摘できなかった。炎症反応上昇と軽度の尿混濁があり、昨年出血性膀胱炎で入院した既往もあり、尿路感染症(急性腎盂腎炎)疑いとして入院になった。

 セフトリアキソン点滴静注を継続していたが、炎症反応は不変だった(白血球数は正常域で、CRPが20前後で横ばい)。入院時に提出された尿培養では有意な菌は検出されず、血液培養2セットも陰性だった。

 末梢静脈からの点滴が漏れてしまい、点滴できそうな静脈がない方で、PICCを挿入していた。一昨日はスパイク状の高熱が出たこともあり、血液培養再検の結果を待ってからの抜去もあったが、カテーテル関連血流感染疑いでPICCのカテーテルを抜去した。昨日今日と解熱傾向には見える。

 食事摂取できるので、500mlの点滴は不要だった。セフトリアキソンが効かないカテーテル関連血流感染だと、MRSA・MRSE疑いなので、教科書的にはバンコマイシン点滴静注で血液培養の結果待ちになる。しかし末梢静脈ほ確保が難しい。他の部位からのCVカテーテル再挿入もちょっと(必要なら行うが)。

 感染症ではなかった可能性も考えた。入院直後には発熱以外に症状の訴えがなかったようだが、入院後は頭痛を訴えて、アセトアミノフェンを内服していた。病室に行って詳しく話を訊いてみると、痛いのは右側頭動脈だった。拍動は触れて、索状硬結というほどではない。話をしながら何度か触知したが、やはり右側頭動脈に圧痛がある。左側頭動脈にはまったく所見がなかった。

 顎跛行の症状は自覚していなかった。視力障害も自覚していない。リウマチ性多発筋痛症様の症状はなかった。巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)の可能性があるが、これだけでは確定しがたい。

 月曜日に血液検査を入れていたので、血沈と入院時からある凝固異常の再検を追加した。困った時は、内科専攻医が所属するホスト病院に連れて行ってもらう?。

 

 

 

 

 

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