なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

潜在性結核感染症(LTBI)

2019年06月11日 | Weblog

 今年の1月に病院に入院していた90歳代女性が肺結核を発症していたことが判明して、結核病床を持っている病院に転院になった(転院先で亡くなった)。

 自己免疫性肝炎の増悪で地域の基幹病院消化器内科に入院した。ステロイドパルス療法を2回受けていて、その後もプレドニン高容量から減量された状態で、リハビリ目的で当院に転院してきた。年齢的に若い時の暴露されていたのが、年齢と大量のステロイド投与により発症あるいは再燃したと判断された。

 発症3か月以内の接触者健診が両方の病院で開始された。職員は1回目のT spot検査で陽性者はなく、先週2回目の検査が行われている。

 大部屋に入院していたので、いっしょにいた患者さんたちも接触者健診が行われた。入院している患者さんや通院している患者さんは病院で検査するが、退院した患者さんは保健所の扱いになるそうだ。

 昨日感染管理ナース(ICN、正確にはCNIC)から、同室だった88歳女性がT spot陽性だったと報告があった。この方は進行乳癌があり、当院外科で化学療法を受けている。

 胸部X線よりは結核病変の有無をCTで確認することにしたが、外科で乳癌の病状をみるため、5月31日にCTをすでに施行していた。結核を示唆する病変はなく、そもそも肺野自体にまったく異常はなかった。しかし肺結核以外の結核(喉頭結核・気管支結核)はあるので、喀痰検査を行う必要はある。

 結核発症者ではないと確定しても、接触者健診で陽性(最近の感染)でもあり、過去に結核感染して発症のリスクがあり免疫抑制状態にある感染者でもあるので、潜在性結核感染症(LTBI)には相当する。治療の禁忌がなければ、LTBIとして治療対象になる。明後日の呼吸器外来に来てもらっている抗酸菌感染に詳しい先生(大学病院から)に相談することにした。

 病院職員(当方も主治医だったので一番の対象者)の2回目のT spotの結果はまだ出ていないが、どうなるか。

 

 

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