なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

一発診断 第8回 ボルンホルム病・モンドール病

2019年06月16日 | Weblog
 
 
CareNeTV
一発診断
第8回 激しい胸痛を訴える28歳女性
 
Script illuness15
28歳女性
現病歴:
8月某日、2日前から38.6℃の発熱・咽頭痛があり、今朝起床時に激しい胸痛を認めたため受診
検査所見:
・液検査 白血球8000/μg、CRP3.4mg/dL ほか異常なし
・胸部X線 異常なし、心電図 異常なし
身体所見:
・明らかな異常なし、胸痛は深呼吸・体動で悪化
後日 コクサッキーウイルスB群抗体値上昇
一発診断:ボルンホルム病(流行性筋痛症)
 
ボルンホルム病(流行性筋痛症)
概念:
・筋肉痛を来すウイルス感染症
・流行性筋痛症・流行性胸痛症
原因:
・コクサッキーウイルス(とくにB>A)
・エコーウイルス
潜伏期:
・2~7日
疫学:
・夏(~秋)に流行する
・小児だけでなく成人でもみられる
症状:
・発熱
・発作性・間欠性の激しい胸痛・上腹部痛→体動・深呼吸・咳嗽・笑いなどで悪化する痛みが特徴
・背部痛のこともある
幼少児の場合 痛みのため、浅い呼吸、無呼吸などの呼吸以上で見つかることが多い
所見:
・咽頭後壁のリンパ濾胞
検査:
・胸部X線 異常なし(少量の胸水を認めることあり)
・心電図 異常なし
・採血 筋由来酵素正常
・ウイルス抗体値上昇
予後:
・良好で4~6日で軽快する
・対症療法 消炎鎮痛薬
ただし
1)約1/4の症例が再発
2)改善まで数か月かかることも
一発セオリー:
夏から秋に発熱を伴う間欠性・発作性の胸痛、上腹部痛をみたら・・・
ボルンホルム病

これまで診た記憶がないが、見逃しているのかも。
 
Script illuness16
59歳男性
現病歴:
数日前からの左胸の痛みを訴えて受診 左腕を動かすと痛みが増悪
身体所見:
・左胸外側に圧痛を伴うミミズ腫様索状物
・経度の牽引痛
・周囲に発赤・腫脹なし
一発診断:
モンドール病
 
モンドール病
概念:
乳房および前胸壁~上腹部の皮下に索状の硬結を来す表在性の血栓性静脈炎
原因:
・特発性 最も多い(32.5%)
・外傷
・重荷重
・筋損傷
・医原性(生検・手術)
・ホルモン補充療法
・感染性
・血栓形成傾向
・きつい衣服による静脈の圧迫
6.3%の症例で乳がんが発見されるが、関係ははっきりしていない
疫学:
・30~60歳の女性に多い(男性3倍)
症状:
・索状の硬結に一致して・・・
圧痛・つっぱり感・皮膚の陥凹
増悪因子 上肢挙上・体のひねりなど
(無症状のことも・・・)
(発赤など皮膚の炎症を疑う所見は通常みられない)
超音波検査:
・索状物は無~低エコーの管腔構造として描出されるが、管腔がはっきりしないこともある
・血栓で計測しているため有意な血流所見を認めない
治療:
・経過観察 2~8週間で自然治癒
・痛みが強ければ
1)セレコキシブ
2)桂枝茯苓丸
ピットフォール:
・陰茎、鼠径部、腋窩、後頚部、下肢に認めることもある
・索状物に沿って発赤を認めることがある
一発セオリー:
乳房から上腹部に圧痛を伴う線状nの索状物がみられたら・・・
・・・モンドール病
 
 10年以上前に診て以来、診ていない。内科ではなく外科を受診しているのか。
 
コメント
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