なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

「疲れました」

2018年06月02日 | Weblog

 今月半ばから67歳女性が動悸などを訴えて入院していた。内科の若い先生(専攻医)が担当していた。精神科病院に通院を始めたばかりで、抗うつ薬(SSRI)が処方されていた。

 動悸がある時の心電図でも異常はなく、身体の異なった部位の痛みを訴えたりしていた。心気症の患者さんがいるなあと見ていた。電子カルテにサインがあるので見てみると「夫がクレーマーなので注意」ということだった。

 そのうちにナースステーションで何か自分のことを言っている、言っているのが見えるなどと言い始めた。当院で抗精神薬を処方することも考えたが、若い先生は精神科の担当医に連絡して、当院は退院にして精神科の外来を受診してもらうことになった。退院する時に、夫が当院に入院したせいで悪くなった、病院の対応が悪い、と看護師さんに散々言っていたそうだ。

 精神科病院の外来は受診したらしいが、詳しいことはわからない。少なくとも入院にはならなかった。その後入院時と同じような訴えで、救急搬入された。救急当番は神経内科医だったが、検査に異常ないので帰宅とした。恰幅のいい先生なのでクレーマーの夫も気後れしたらしい。

 その日の当直は入院で担当した内科の若い先生だったが、準夜帯で1回深夜帯で1回救急搬入された。いろいろもめたが、入院は拒否してそれぞれ帰宅した。朝方にまた救急要請したが、当院には行きたくないと言って、不搬送になったそうだ。若い先生は「本当に疲れました」と言っていた。自分がキレるのを抑えるのがやっとだったという。

 当初は先生のおかげでなどと言っていたのに、途中から悪者にされましたと言っていた。好かれると大変なので、少し嫌われてむしろ自分の時は受診しないようになるくらいがちょうどいいと教えた。内科疾患がないことは確認しているので、あとは精神科にまかせるのがいい。若い先生には、春日武彦先生のケアネットDVD「精神科入門 負けるが勝ち」や必読の著書「はじめての精神科」で勉強してもらおう。

 精神科にちゃんと通院するかどうかもわからないし、精神科でも神経症~人格障害の領域は有効な処方もないのであまり扱いたがらない。抗精神薬をうまく使いたいところだが、まず内服しないので難しい。この患者さんでは、夫の問題もあるので対応は困難を極める。夫の患者さんに対する言い方が相当ストレスになっているようです、と救急外来の看護師さんが言っていた。そのうちまた救急搬送されてくるのだろう。

 

 「大船本」を購入してみたが、今後大船に行く機会があるかというと、今のところはない。JRで鎌倉に行く時に通って、江の島から湘南モノレールに載って大船に戻ったが、通り過ぎただけだった。

大船本 (エイムック 4087)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする