29日の午前3時ごろに73歳女性が嘔気・倦怠感で救急外来を受診して入院していた。内科医院に糖尿病で通院していて、血糖コントロールが悪く(HbA1c10~11%))、今月からSGLT2阻害薬が処方された。処方後から嘔気が続いていたようだ。
血糖は365md/dl・HbA1c11.4%で高値で、血液ガス検査でpH7.148でHCO3が5.1(BE-22.4)と糖尿病ケトアシドーシスだった。当直医が主治医で治療を開始して、入院後は改善している(同日午後から食事開始された)。
昨日日直で出てきていたが、入院の心不全の患者さんを診に来ていた若い循環器科の先生が、「これはSGLT2阻害薬のためですかねえ」とおしえてくれた。どれどれと画面で確認すると、上記の経過だった。この方は肺炎を併発していて、それも悪化の原因になったもかもしれない。
血糖コントロール不良として、当院に紹介されてもおかしくないが、内分泌代謝の得意な先生なので、自分で診ていたのだろう。DPP4阻害薬+SGLT2阻害薬という今時の処方だった。この順番の処方で間違っているとはいえないだろう。
以前SGLT2阻害薬処方に伴う副作用を危惧し過ぎていた時に比べれば、最近は少しずつ処方が増えている。ただし、DPP4阻害薬のように誰にでも安心して出せるという薬ではない。