昨日の夕方に23歳女性が頭痛で受診した。1年前から1週間に1回くらい頭痛が出現して、半日くらいは続くそうだ。閃輝暗点はない。嘔気は自覚していない。光過敏・音過敏もなかった。寝込むことはないそうだが、日中から就寝時まで痛が続く時も翌朝起きた時には消失している。頭痛は片側で起きている。拍動性のこともあるが、圧迫感の時もある。職業は美容師で肩も凝りそうだ。
その日は右頭頂部から後頭部の頭痛が昼前から出現して、30分くらいしてから左上肢のしびれを自覚した。これまで受診歴はなく、市販の頭痛薬を飲むこともなかった。頭痛の程度がふだんよりも強かったのと、上肢のしびれをともなったので初めて受診したのだった。
意識清明で歩行も問題ない。脱力はなかった。頭部CTを行って異常がなく、MRI検査に余裕があったので頭部MRIも行ったが、MRAも含めて異常はなかった。検査が終わるころには、頭痛としびれは軽快していた。
頭痛が出現した後に、しびれが出現しているので、しびれは前兆とはいえない。片頭痛により過敏(気持ちの問題ではなく神経が)になっているための症状ということか。片頭痛の中にはトリプタン製剤が禁忌になるものもあるので、アセトアミノフェンのみ処方して、神経内科外来予約とした。
(後日記) 神経内科外来では、頭痛は拍動性の要素は少しだけで、締め付けられるような緊張型頭痛の性質が強いと判断された。そして、左上肢のしびれは胸郭出口症候群の疑いがあるということだった。この方は美容師さんで、経験年数はまだ短いが両上肢を上げて作業している。脊椎のMRIは異常がないので、それについては整形外科紹介にしたそうだ。ただ整形外科に紹介しても、通常は臨床判断で症状をきたす施設を避けるようにして経過観察になることが多いとも言っていた。
嘔気を伴わないことや寝込むことがない点は、典型的な片頭痛ではないようだ。また、しびれも頭痛と関連するかと思ったが、違ったようだ。