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なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

全体的には老衰か

2016年12月12日 | Weblog

 来年度の医科大学の学生実習の依頼が来ていた。医学部2年生なので、基礎医学の講義が始まったばかりだから、本当に見学に近い。まあ、日程も2日間なのでたいしたことはできない。会議で引き受ける科はといわれたので、ここは内科だろうなと思って研修責任者を引き受けた。

 先週基幹病院から転院してきた90歳男性は、来てみると呼吸が浅く、そのまま呼吸が止まってしまうかと思われた。認知症で施設に入所していたが、先月半ばに誤嚥性肺炎で救急搬入となった。DICを併発してダメだろうと言われたが、何とか持ちこたえた。経口摂取はできず、経管栄養や高カロリー輸液の適応はないと判断されたらしく、また何より入院日数の問題もあって、転院依頼となった。電話では、お看取りでしょう、ということだった。転院前の数日は点滴500ml1本/日だったので、そのつもりだったのだろう。

 同じく認知症の奥さんが施設に入所していて、親族は姉が他県にいて、実質上の責任者(とされてしまった)の甥は首都圏在住だった。転院した日に甥が来ていたが、すぐに帰ってしまった(こちらんも忙しくてすぐには話ができなかったが)。電話で病状を説明すると、お任せしますということだった。長く入院できないので転院となったことは、わかってはいるが不満らしかった。

 転院翌日に検査する予定だったが、検査しないまま終わるかもしれないので急遽その日に検査した。両側胸水・右肺炎があって、炎症反応も高値だった。転院待ちの間(家族の都合で1週間弱かかった)に再燃したのかもしれない。全身浮腫があって、末梢静脈から点滴ラインがとれず、CVライン(好ましくないが病室で大腿静脈から)を入れて、持続点滴と抗菌薬を開始した。

 今日はその甥御さんが母親(患者さんの姉)を連れて病院に来た。治療は酸素吸入・抗菌薬・点滴などとして、病状悪化時はDNRということで同意していただいた。病状悪化時にすぐに来れるとは限らないので、その際は来院するまで病院でお預かりすることにした。

 寝たきりで発語はなく、親族がきてもわかってはいない。1~2週間は治療を継続するが、その後はどうしたものだろう。経管栄養は無理なので、CVラインを内頚静脈などに入れ替えて、薄めの高カロリー輸液にして維持できる可能性はゼロではない。そうして療養型病床のある病院に回せば当院としては終了になるが、正しい対応なのかどうかはわからない。肺炎・心不全というより全身状態の問題(老衰)で亡くなる可能性の方が大きいようだが。

 先週他の施設から全身浮腫で救急搬入された97歳女性は、DNRとして点滴少量で経過をみている。心疾患の病名を付けるよりは老衰とすることにした。

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