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なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

インフルエンザだけのはずが

2016年12月06日 | Weblog

 昨夜、71歳女性が脱力で動けないと救急外来を受診した。当直の外科医から連絡がきて、検査であまり異常がないが、経過をみるために入院にすると連絡が来ていた。統合失調症と糖尿病で通院しているということだった。

 今朝、その外科医が「いやあ、だまされた」と話かけてきた。その患者さんを病棟に上げると、39℃の高熱が出現して、インフルエンザ迅速試験でA型陽性と出たそうだ。ラピアクタを点滴しておいたので、後はよろしくということだった。循環器科の先生が、感染症学会・化学療法学会でインフルエンザでは後から発熱が出現するのが案外多いという話を聴いてきた、と話していた。

 病棟で患者さんをみると、意識障害があった。話かけるとうすく開眼する程度だった。まだ高熱があるが、インフルエンザだけにしては、おかしかった。昨日の検査を再確認すると、白血球数とCRPは正常域だった。CKが軽度に高い。血糖は200台だったが、それで意識障害にはならない。精神科病院で糖尿病の治療も合わせてしていて、インスリン混合製剤の朝夕2回打ちだった。HbA1cは7.0%でまずまずだ。

 昨夜は脱力ということで、頭部MRIが施行されていた。脳梗塞・脳出血はないということだったが、拡散強調画像で左右対称の所見がある。そのころには、早くも放射線科の読影所見が出ていて、拡散強調画像で第三脳室周囲・視床内側・中脳水道周囲に高信号域があり、ウェルニッケ脳症を疑いという診断だった。血清ビタミンB1を追加で提出(外注)して、ビタミンB1100mgを点滴静注した。神経内科医にMRIを診てもらうと、「普通はヘルペス脳炎くらいしかみないけど、これはちがう。B1を入れて結果待ちでしょう。」という。

 午前中にみた時よりも、昼は少し意識が回復していた。普段の生活を家族に訊くと、それほど家事はやってないというが、それなりに生活していた。飲酒はなく、偏食ともいいがたいようだ。夫が少し前に風邪症状で受診していて、それがインフルエンザで妻(あまり外出しない)にうつったと推定された。

 甲状腺機能も、甲状腺機能低下を疑って追加で出していたが、逆に甲状腺機能亢進だった。甲状腺腫とはとれなかった(画像上も)。甲状腺の外注検査も提出した。洞性頻脈があり、今日はβブロッカー(貼付薬)で対応することにした。

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