なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

CGMの本

2015年06月29日 | Weblog

 「CGMパターンで解決!糖尿病治療テクニック」西村理明著(南江堂)を購入した。昨年、西村先生が当県に講演に来られてCGMパターンの話をされた。CGMの本は出されていたが、ちょっと古いので新刊が出たら購入しようと思っていた。ちょっと絵本のような漫画入りの本でわかりやすい。

 糖尿病の血糖の推定としては、HbA1cの20倍が空腹時血糖で、食後血糖はその1.5倍くらいというのを目安にしていた。空腹時血糖126は食後血糖200でHbA!c6.5%、空腹時血糖140は食後血糖200ちょっとでHbA!c7.0%、空腹時血糖200は食後血糖300弱でHbA1c10%になる。思えば、こんな簡単な理解で診療していたわけで、後は実際の血糖値を見て考えていた。(昔の空腹時血糖140が126というハンパな値になったのは、GTT2時間値200に相当するのは126だから)

 CGMで見ると、耐糖能正常者の24時間の血糖値は90~120mg/dl前後の狭い範囲を推移して、平均血糖は100で標準偏差は15mg/dlになる(100プラスマイナス15)。

 HbA1cが7.0%未満では空腹時血糖値の上昇は目立たず、食後血糖の上昇(平均血糖からの標準偏差)は15の2倍の30になる。

 HbA1cが7.0~8.0%未満では空腹時血糖はちょっと上がり、食後血糖の上昇(平均血糖からの標準偏差)は35くらいになる(ここで食後血糖が200を越えてくる)。

 HbA1cが8.0~9.0%未満では空腹時血糖が150に上がるが、食後血糖の上昇は7.0~8.0%未満の時と同じくらいでそれほど上昇しない。

 HbA1cが9.0%以上になると空腹時血糖は8.0~9.0%未満と変わらないが、食後血糖の上昇(平均血糖からの標準偏差)が50と顕著になる。

 なるほどなるほど、血糖の推移はそうなっているのか。

 同じ食事内容でも食べ方を変えると(野菜を先に食べる、ゆっくり食べる=良く噛む1口30回)食後高血糖が改善して、食後の運動が食後高血糖を改善するのもよくわかる。SU薬ではHbA1cが少し高いのに、夕食前に低血糖になりやすい。臨床的には良く経験することが、CGMではっきり示される。混合製剤朝夕2回打ちでは昼食後血糖の上昇を抑えられないのも一目瞭然。ランタスやレベミルではわずかだがピークがあるので、夕食時や就寝前に投与では夜間低血糖になる可能性がある(トレシーバなら平坦な推移)。

 当院でCGM導入の予定はないので本で勉強するだけだが、とても参考になる。それにしても、酸素飽和度のように指に挟むだけで血糖測定できるデバイスができるといいな。

 

コメント
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