なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

化学療法学会

2015年06月05日 | Weblog

 化学療法学会で京王プラザホテルに来ている。教育講演での川崎医大・沖本二郎先生の「漢方と感染症」の講演が面白かった。
感染症では起炎菌・抗菌薬・宿主の三角形が出てくる。このうち宿主については、何もなされていないという。西洋医学には高齢者の体力を改善させる治療はない。補中益気湯は老化した(弱った)宿主を良くすることができる。
インフルエンザ発症時の麻黄湯は定番になっている。タミフル・リレンザと同等があり、併用するとさらに効果がある。作用部位も科学的に証明されてきている。1週間経過しても治らない時は柴胡桂枝湯を使用する、さらに1か月経過しても治らずに咳が続いている時には竹茹温胆湯を使用する。高齢者のNHCAPは、インフルエンザ後の二次性細菌性肺炎と誤嚥性肺炎で、前者の起炎菌は肺炎球菌・黄色ブドウ球菌・インフルエンザ菌。呼吸器学会では65歳以上のインフルエンザに抗菌薬を処方して良いことにしているという。誤嚥性肺炎には半夏厚朴湯・清肺湯が使える。非結核性抗酸菌症にも小柴胡湯や補中益気湯を使用する。

 ランションセミナーは矢野邦夫先生のは売り切れで、喘息・COPDの講演を聴いたが、喘息のガイドラインが新しくなったっということ以外は参考にならなかった。午後は大曲先生の副作用出現時の抗菌薬の使用方法を聴いた。すぐに抗菌薬の副作用と決めつけてはいけないという。抗菌薬使用中の臓器障害は、)併存疾患の増悪、2)感染症による臓器障害、3)薬剤による臓器障害の場合がある。抗菌薬の副作用には、1)アレルギー(即時型・遅発型・未分類だが重篤)、2)代謝物の影響、3)代謝への影響、4)体内正常菌叢攪乱がある。具体的には、アナフィラキシー・皮疹・発熱・血清病・肺病変(PIE)・血液異常(溶血性貧血・白血球減少・血小板減少)・PTの延長・腎障害(用量・アレルギー)などがある。

 その後、Pros&Cons日常診療の疑問に答えるを聴いていた。テーマは、ESBL産生菌にカルバペネムを使うか他の抗菌薬を使うか、Sepsis・Septic shockに単剤で行くか併用で行くか、術後感染予防抗菌薬にバンコマイシンを使うか使わないか、だった。なんだかんだと竹末先生が牛耳っていた。結論としては、ESBL産生菌にはカルバペネムを使う、Septic shockには原則単剤だが場合によって併用する、術後感染予防抗菌薬としてバンコマイシン単独はない、だったと理解したが違っていたかもしれない。

 

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