なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

内科地方会教育講演会

2015年06月20日 | Weblog

 昨日は内科当番で、当直医が他の病院からの応援医師だったので、病院に泊まっていた。結果的には入院はなく、90歳女性が入浴中に心肺停止になって救急搬入されていた(心肺蘇生に反応なく死亡確認)。今朝当直医に伺うと、家族がAutopsy imagingは希望されず(正確には同意されず)、施行しなかったそうだ。死因は頭蓋内出血疑いとしたという。高齢者の浴槽内での急死はたまにあるが、原因は分からないことが多い。中学生のころに父方の祖父が浴槽内で亡くなったが、死因はどうしたのだろう。

 午後から内科地方会のッ教育講演会に行った。テーマは禁煙、新興感染症、皮膚病、気管支喘息、関節リウマチだった。産業医大・大和浩先生は禁煙指導を熱心に行っている。喫煙者が禁煙すると、非喫煙者と同じ状態に戻るまで15年かかるという。オリンピック開催の条件は屋内施設の全面禁煙化で、開催をきっかけにロシア・韓国・中国が屋内施設の全面禁煙化に踏み切っていて、北朝鮮と日本だけがまだ行っていない。喫煙できる喫茶店内のPM2.5は中国の大気汚染がひどい時と同じレベルになっている。

 福島医大呼吸器内科の棟方充先生が、ガイドライン2015が出た気管支喘息の最新の考え方と治療の話をされた。会場から、喘息の症状が消失して3~6か月経過した際に、治療をいったん中止できるかという質問が出た。個人的な考えとして、難治性喘息の方は最初からわかる、そうでなければ中止することはできるという回答だった。自分なら治療内容を漸減して継続すると思うが、たぶん患者さんが受診しなくなって、自動的にいったん中止(中断)になるのだろう。

 慶應大学リウマチ内科の竹内勤先生が関節リウマチと生物学的製剤の話をされた。関節リウマチは発症初期2年間の進行がその後の進行の5倍になる。まずはメトトレキサートの投与を行うが、寛解するのは3~5割くらい。寛解しない症例には生物学的製剤を使用する。関節リウマチに関連するサイトカインTNFαとIL6。生物学的製剤を使用しても全例が寛解には至らない。リウマチ膠原病(関連疾患も含めて)には疾患ごとに関連する(治療対象となる)サイトカインが異なるという話が興味深かった。そつなく流暢な講演はさすが慶應?。

 帰りにドトールに寄って、プライマリケア連合学会会場で購入した筑波大・前野哲博先生(学会長)の「症状対応ベスト・プラクティス」を読んでいた。パラメディカル用の本だが、ケアネットDVDの「みんなの症候診断」で前野先生が述べられている考え方を文章で見ることができる。

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