なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

緩徐進行型1型糖尿病

2015年06月17日 | Weblog

 整形外科に大腿骨頸部骨折で入院した65歳男性は、糖尿病で他市の病院に通院していた。そこは大学病院の糖尿病代謝科からの応援医師が毎日来ている。治療はノボラピッド30ミックス朝夕にベイスン・メトグルコ内服だった。入院時のHbA1cは6.8%と良好な血糖コントロールだった。整形外科医から入院中(術後リハビリを行う予定)の糖尿病の治療を依頼された。といっても、良好な血糖値なので、それまでの治療を継続とした。糖尿病初診時の検査として、血中(空腹時)Cペプチドと抗GAD抗体を提出していた。Cペプチドは0.51ng/mlと低値だった。普通の2型糖尿病と思っていたが、以外にも抗GAD抗体400U/mlと陽性だった。おそらく緩徐進行型1型糖尿病で、年数経過とともに自己インンスリンが2型よりも速く低下していくのだろう。通院先の病院でもわかっているのだろうが、1型と病名を付けるとインスリンしか使用できないので、単に糖尿病として治療していると思われる。入院後は食事療法を守っているので、1か月半経過してHbA1cが6.0%まで改善した。

 皮膚科(大学病院皮膚科から週3回の応援)に類天疱瘡で通院している91歳女性がいる。先月に帯状疱疹になって、当院皮膚科から常勤医のいる基幹病院皮膚科に紹介されて入院していた。糖尿病は他市の糖尿病クリニックに通院して、インスリン強化療法を受けていた。最近は認知症で自己注射はできず、家族(長男)がしていた。入院中はその病院の糖尿専門医が診ていた。退院後に、食欲不振が続いて入院した皮膚科に相談したらしいが、もう帯状疱疹の治療は終わっていて皮膚科入院の適応はないということで、当院の外科(常勤の皮膚科医がいないので)に入院依頼が来た。若い外科医が担当になったが、食欲のない状態が続いて認知症の症状が目立つので、内科で診ることになった。まあ外科で診る必要は最初からない。3年前に肺炎で私が入院治療を担当したので、主治医になった。その時の検査で、血中Cペプチドは感度以下だった。抗GAD抗体は陰性だったが、2型糖尿病が高齢になってインスリン枯渇したというよりは、緩徐進行型1型糖尿病だったのだろうと判断された。昼夜逆転を調整したり、補中益気湯を試したりして、入院時よりは食事がとれるようになった。

 抗GAD抗体は糖尿病初診では血中インスリンやCペプチドと一緒に必ず測定している。検査のやりすぎかなという気もするが、案外陽性が出る(圧倒的に陰性も出るが)。思ったより緩徐進行型はいるようだ。

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