なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

帰りたくない人

2015年06月19日 | Weblog

 70歳男性が先週末に救急外来を受診した。めまい・頭痛で入院して、数日前に退院していた。症状は同じだった。当直は外部病院からの応援医師なので、とりあえず入院させた。入院してからは、トイレ歩行はできて食事摂取も良好だった。ただ、症状を訊くと、頭痛が、めまいがと訴える。今日は調子がいいですとは決して言わない人なんだろう。独身で独り暮らしだった。入院して気持ちが落ち着いたのか、3日後に退院しますと言って、それが今日だった。病室に行くと調子が悪いという、話をしているうちに涙ぐんでしまう。

 家族としては、兄が責任者になっていた。電話でお話して、それまでの経緯を少し聞いた。やはり一人暮らしで何かと不安を訴えるので、ケアハウス入所を勧めて、実際に試験的な宿泊もしたそうだ。本人が気に入らないと言って断ってしまった。新しい環境への変化を決められなかったのだろう(不安はあっても現状維持が安心)。退院は延期して、来週まで経過をみること。、少し安定剤などを処方してみること、主な対応は生活支援なのでケアハウス入所をまた考えてもらいたいこと、などを伝えた。幸いに精神的なものだということを理解してくれたようだ。精神科病院に紹介しても行かないだろうな。

 病棟の看護師さんが、この患者さんを生協でよく見るという。何をするでもなく、じっと椅子にすわっているそうだ。確かに周囲との付き合いもあまりなさそうだから、毎日暇を持て余しているのだろう。来週兄と今後のことを(MSWも交えて)相談することにした。きっと病院にいると、看護師さんと話もできるし、食事も出るし、それなりに快適なのだろう。抗うつ剤だと副作用が強く出そうなので、弱めの安定剤で経過をみる。

 最近胃癌健診で「胃炎」と診断されて、二次検査で受診する患者さんが多い。ピロリ菌による胃炎の除菌を意識しての拾い上げだ。普段通院していない方は消化器科の新患扱いとなるが、自分の外来に通院している患者さんの内視鏡検査は自分でしている。今日も糖尿病で通院している患者さんの検査をすると、萎縮性胃炎・ピロリ菌陽性だった。除菌療法はタケキャブ・アモキシシリン・クラリスロマイシンにしている。来週はMERSの会議で県庁に行く予定。地域の感染病床を持っている病院が集められる。

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