なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

むずむず脚症候群

2015年06月01日 | Weblog

 昨日の日曜日の日直で33歳女性が救急搬入された。当地の基幹病院消化器科で膵腫瘍が疑われて、そこからさらに当県有数の市立病院に紹介されて精査予定だという(膵癌ではなく、家族の話からするとsolid pseudopapillary neoplasmかもしれない)。

 それに直接関した症状ではなく、呼吸困難感(酸素飽和度は正常)と両側下肢の違和感という。救急隊が両方の病院に搬入を依頼したが、受け入れ困難で当院に連絡が来た。過換気症候群などの心因性の症状を思われたので、引き受けることにした。

 搬入には呼吸困難感は消失していた。もっぱら両側下肢のびりびりした感じ・いてもたってもいられない感じを訴えた。両下肢を切ってほしいくらいだと表現した。これはいわゆる「むずむず脚症候群」なのだろうか。表情や訴え方が精神的なものという印象を受けた。以前にパニック障害で精神科や心療内科のクリニックに通院した既往があるという。

 とりあえず、過換気症候群の状態だったら使用するつもりだったアタラックスP1Aを点滴静注してみた。多少効いて、下肢の違和感が出たり引っ込んだりするようになったという。その後、パニック障害の発作時に準じてコンスタン1錠を内服してもらったが、あまり効果はなかった。

 むずむず脚症候群ならランドセンかと思ったが、使ったことがないしちょっと迷った。夕方になって当直で病院に来た神経内科医と相談して、ランドセン0.5mgを内服してもらった。30分くらいで眠気をきたしてうとうとし出だした。夫に付き添ってもらって一晩入院にする手続きをしていたが、2時間くらいで症状が軽快して(皮膚の表面の一部のみに残ると表現された)、帰宅することができた。以前通院していた精神科か心療内科のクリニックの受診す勧めた。

 今日夫が外来に来て、消化器科で精査する予定の市立病院を受診したいとそこ宛ての紹介状を希望された。神経内科を希望され、そこは平日日中ならば精神科もあって、その方が好ましい様な気がした。夫にその点をお話して、紹介状には必要ならば院内でご高配下さいと記載した。確か神経内科常勤医が4名くらいで、精神科も精神科救急を目指していて、まだ途中ではあるが2名の精神科常勤医がいるはずだ。昨日電話で訊くと、夜間休日に精神科救急を受ける体制にはないと内科系の日直医師が言っていた。

 それにしても当地の基幹病院はうまく逃げたなあという話になった。結局日直の時間帯は過ぎて、午後8時までのお付き合いした。消化器科の精査を受けることがきっかけになったとすれば、気の毒な状況ではあるのだが。まあ貴重な体験だったと思うことしよう。

コメント
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