Snowtree わたしの頭蓋骨の下 *鑑賞記録*

舞台は生もの、賞賛も不満もその日の出来次第、観客側のその日の気分次第。感想というものは単なる個人の私感でしかありません。

歌舞伎座『勧進帳』幕見席

2015年11月25日 | 歌舞伎
歌舞伎座『勧進帳』幕見席

千穐楽を拝見。とてもいい舞台を拝見させていただきました。

弁慶@幸四郎さん、渾身の丁寧な丁寧な弁慶でした!14日に拝見した時とは全く違ってた。たぶん今日のこれがやりたかった弁慶だったかなと思ったり。台詞はとても明快でした。以前に比べれば所作や台詞に力強さとかキレとか大きさは失われたけど義経を守りたくて必死な父性を感じさせる弁慶。松緑くんが子どもみたいに見えたから尚更。とても良かったです。

冨樫@染五郎さん、台詞の一つ一つが良かったです。何をしようとしているか、何を問いただしているのかきちんと意味がわかる。ことさら謳いあげはしてなかったです。落ち着きがあり存在感もありました。だいぶ懐が深い富樫になってきた。ま、ここは贔屓目込みかな。にしてもいちいち形が綺麗でした。

義経@松緑さん、も品があって純粋さがあって良かった。なんか守られている子どもに今日は見えた。弁慶が謝っているの見ながら泣いてない?という瞬間も。そういう表情に見えたというか。ちょっと胸にグッときました。

後見の錦弥さんが、心配そうな厳しい顔していたな。つい見てしまう。

幕見には学生ぽい若い人や外人さんも多かった。若い人たちは最初のうちは筋書きやコピーしてきた勧進帳の台詞を追う方に必死だったけどいつしか舞台に目が釘付けに。外人さんも大向こう真似したりしながらもきちんと観てた。今日の歌舞伎座は気持ち良い空間でした。